2011 Fiscal Year Research-status Report
一酸化窒素(NO)によるRTKリン酸化制御機構の分子生物学的解析と癌治療への応用
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23592016
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉田 裕樹 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (30398218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高森 啓史 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (90363514)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | RTK / 一酸化窒素(NO) / IGF-iR / EGFR / MEK / PI3-K / IRS-1 / MAPK |
Research Abstract |
癌細胞においてIGF-I, EGF等の増殖シグナルは重要である。IGF-IR, EGFRの下流のシグナルにPI3-K pathwayおよびMAPK pathwayの2つのpathwayが存在している。これまで我々研究クループは一酸化窒素(NO)がIGF-IR, IRS-1、Ak/PKBのリン酸化を抑制する反面ERKのリン酸化を増強させること、さらにIGF-IRのアダプター蛋白であるIRS-1はNOによりubiquitin化し分解が促進することを発見し発表してきた。本研究の目的はIGF-IR, EGFR等のtyrosine receptor kinase (RTK)におけるリン酸化の制御のメカニズムを明らかにすることである。MEK inhibitorによる癌細胞MIAPaCa-2および大腸癌細胞HCT116においてMEK inhibitor (MEK-I,U0126)は下流のERK1/2のリン酸化を抑制すると同時にIGF-IR, EGFRのリン酸化を逆に増強させることを明らかにした。これらの癌細胞株においてMEK inhibitor (U0126)およびNOドナー(GSNO)の同時添加はPI3K pathwayおよびMAPK pathwayの両方を抑制し、さらに多くの癌細胞株にて2剤の同時添加はより強力な細胞増殖抑制効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では次の仮説を検証する予定である。仮説1:NO はtyrosine receptor kinase (RTK)のS-nitrosylationによってligandによるリン酸化を抑制する。仮説2:NOまたはMEK inhibitorによるRTKリン酸化の制御には第3の物質(蛋白質)が必要である。仮説3:NO donor + MEK-Iはマウス膵癌移植モデルにおいて癌の増殖・転移を抑制する。MEK inhibitor (U0126)およびNOドナー(GSNO)の同時添加はPI3K pathwayおよびMAPK pathwayの両方を抑制し、さらに多くの癌細胞株にて2剤の同時添加はより強力な細胞増殖抑制効果を示したが、これをマウス膵癌移植モデルにて検討する必要がある。また、仮説1,2は実験のDNA construct 合成等の準備段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
仮説1:NO はtyrosine receptor kinase (RTK)のS-nitrosylationによってligandによるリン酸化を抑制する。はDNA constructが完成次第開始する予定である。仮説2:NOまたはMEK inhibitorによるRTKリン酸化の制御には第3の物質(蛋白質)が必要である。はDNA constructが完成次第Yeast two Hybridを開始する予定である。仮説3:NO donor + MEK-Iはマウス膵癌移植モデルにおいて癌の増殖・転移を抑制する。はまずNOドナーのdose決定から開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬(抗体を含む)、培地・胎児牛血清、X線フィルム、実験器具(消耗品)、実験動物(ヌードマウス)、動物飼育代等の実験に必要物品の購入費が必要である。
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