2011 Fiscal Year Research-status Report
顆粒球コロニー刺激因子の術前投与による致死的不整脈抑制の検討
Project/Area Number |
23592025
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
下條 信威 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 致死性不整脈 / up-stream治療 / 集中治療学 / G-CSF |
Research Abstract |
集中治療室管理下において難治性致死性不整脈の治療には苦慮しているのが現状である。申請者は、平成20年度から21年度にかけて獲得した科研費「心室性頻拍(VT)誘発モデルマウスに対する顆粒球コロニー刺激因子投与(G-CSF)治療の検討」により十分な基礎データを得た。しかし、実際の臨床では、心臓手術患者へのG-CSF術前投与による適応が期待される。そのため、臨床に則した理想的な手術によるモデル動物を作成し、顆粒球コロニー刺激因子投与の術前投与の予防効果を検討する。また、G-CSFの不整脈抑制効果のより詳細なメカニズムの検討を目的とする。本研究は、同薬剤の術前投与の予防効果を検討する臨床研究のために必要不可欠な研究である。実態・現行治療調査 心臓手術患者の術後心室頻拍合併症の正確な現状把握を目標としたが、現段階でデータ収集における人材およびデータ収集ソフトなどは確保できており、審査通過しだい調査をはじめる状態である。基礎実験 新生児ラットの心筋培養細胞にG-SCFを投与することにより、connesin 43の活性化の測定およびその細胞内シグナル伝達系の検討を行っており、現在データを集積中である。また、改めて行ったin vivoの検討により、生理学データの解析を進めるともに、心房筋への影響も考えられ、新たな展開が期待される。結果については、日本循環器学会および、アメリカ心臓学会などで発表し、その評価を得ている。G-CSFによる不整脈抑制効果に関する新たなメカニズムの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実態・現行治療調査においては、現在、筑波大学附属病院倫理審査委員会の審査結果待ちの状態である。心臓手術患者の術後心室頻拍合併症の正確な現状把握および、現行の治療法の効果についてもICU入室患者を中心に把握を目標としており、現段階でデータ収集における人材およびデータ収集ソフトなどは確保できており、審査通過しだい調査をはじめる。基礎実験においては、先の動物実験でのデータのばらつきなどの問題から、ラットを用いてin vivoでの再検討を行った。結果については、日本循環器学会および、アメリカ心臓学会などで発表し、その評価を得ている。また、心室筋だけでなく、心房筋のデータも解析しており、今後、新たな研究の展開も期待される。In vitroの実験も実験系の立ち上げから始まり、データ集積・解析中である。また、虚血再灌流モデルとしてモデルマウスの作成をスタートしており、虚血時間の再検討が必要な段階であるが、同時にデータも蓄積も開始している。まとめとしては、臨床の実態調査においては、人材確保、倫理審査会の都合からも100%の進行具合ではないが、基礎研究においては、予想以上のデータも得られており、メカニズムの解明および今後の展開に大きな期待がもたれる。
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Strategy for Future Research Activity |
実態・現行治療調査1年間100例を目途に心臓手術患者の術後心室頻拍合併症の正確な現状把握を目標とする。現行の治療法の効果についてもICU入室患者を中心に把握する。in vitroでの検討 新生児ラットの心筋培養細胞にG-SCFを投与することにより、connesin 43の活性化の測定およびその細胞内シグナル伝達系の検討を行う。新生児ラットからの心筋細胞培養4日目に心筋の収縮を確認したのち、G-CSFを投与する。培養5、6日目にプレパラート固定、mRNAおよびタンパクの回収を行う。Cnnexin43関連分子の免疫染色による細胞内分布、Western blotting法、real-time PCRによる発現、活性化の評価を行う。さらに、マイクロアレイ法、プロテオミクス法でスクリーニングを行い、ピックアップされる分子の発現および細胞内分布をWestern blotting、ELISA法、免疫染色法、定量PCR法で再解析する。G-CSFによる不整脈抑制効果に関する新たなメカニズムの可能性を探る。培養心房細胞モデルとして、HL-1細胞の培養を検討する。in vivo虚血再灌流モデルサクリファイスの前にイソフルラン吸入麻酔下において、心エコー、血圧測定、心臓カテーテル検査を行う。開腹後、下大静脈より採血し、摘出した心臓は一部は組織学的評価を行い、残りは、mRNA、タンパク質の抽出用として保存とする。それぞれのサイトカイン、転写因子、受容体などの各分子の発現および細胞内分布をWestern blotting、 ELISA法、免疫染色法、定量PCR法などにより解析する。さらに、connexin 43 knock out mouse(Retamal MA et al. J Neurosci, 2007)を用いて、wild typeと比較し、G-SCF治療のキャンセルレーションを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
臨床研究(実態調査)ELISAなど測定・検査キット購入(600千円)、印刷費、人件費など(200千円)で合計800千円、基礎実験in vitro実験 生後1日ラット(200千円)で合計200千円、in vivo実験 マウス購入(400千円)、測定機器消耗品(200千円)、試薬(200千円)、で合計800千円研究費合計 1800千円学会参加費(情報収集および成果発表)日本循環器学会、アメリカ心臓学会など情報収集および結果報告を目的として(300千円)本研究費は、既存の設備を使い、大きな購入は前年度に行なっているため消耗品中心である。なお、昨年度からの繰越金が365千円あるが、申請者の長期出張で不在となったために発生しており、今年度はその予算も合わせての研究計画となっている。
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