2013 Fiscal Year Annual Research Report
非小細胞肺癌の血管新生機序解明に対する新しいアプローチ法とその臨床応用
Project/Area Number |
23592069
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鈴木 実 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (80312940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 公英 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20448525)
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Keywords | SLIT2 / IRF8 |
Research Abstract |
本年度は非小細胞肺癌の細胞株13株を用いて、interferon regulatory factor 8 (IRF8) 遺伝子の異常メチル化についてPyrosequence法を用いて検討した。IRF8はインターフェロンγによって誘導されるインターフェロン調節因子ファミリーの一つである。IRF8は免疫応答やその他さまざまな生理学的調節を司っている。本年度の研究では肺癌細胞株10株にIRF8遺伝子の異常メチル化を認めた。mRNA発現レベルと逆相関しており、異常メチル化がIRF8発現抑制の主原因と考えられた。切除症例191例の検討では、非癌部肺組織と比較して有意にメチル化の程度が高く、頻度も高かった。191例中94例でIRF8の免疫染色を行い、蛋白発現を調べた。腫瘍組織においても、IRF8異常メチル化と蛋白発現は逆相関を示した。原発巣組織においても、異常メチル化がIRF8発現抑制の主原因と考えられた。IRF8異常メチル化はEGFR wild type症例で高頻度に認められた。腺癌症例でIRF8異常メチル化は再発予後予測因子になった。また、IRF8免疫染色による蛋白発現の検討では、男性、喫煙者、非腺癌、EGFR wild type症例、または進行症例で高頻度に発現低下を認めた。 本研究全体を通して、血管新生関連遺伝子と肺癌の関係を明らかにしていった。特に、重要課題であったSLIT2に関しては、異常メチル化の報告があったものの、われわれの施設での通常のMethylation Specific PCR (MSP)法では再現できなかった。今回、異常メチル化測定にPyrosequence法を用いることで、MSP法では検出出来ない異常メチル化を定量的に測定できた。実際、SLIT2は非癌部肺組織と比較して有意に癌組織で異常メチル化を来しており、癌特異的変化であることがわかった。
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