2011 Fiscal Year Research-status Report
COPDからの肺がん早期発見の試みと発症メカニズムの解析
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23592075
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
関根 康雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70312957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣島 健三 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80218833)
桂 秀樹 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20277213)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 肺癌 / 肺気腫 / 発癌 |
Research Abstract |
研究目的の主目的である、「画像解析ソフトLung Visionを用いて、気腫性病変の評価だけでなく、様々な肺病変の詳細な分析と経時的変化の検討を行う。Low attenuation area(LAA)の分布調査による気腫性変化の評価、気管支壁厚の測定による気道炎症の評価、間質性変化の分析を行う。」を中心に研究を行ってきた。 まず、多施設共同研究である「COPD Lung Cancer Screening Study In Chiba trial」により集めた175名のHRCT画像を肺気腫解析ソフトにて解析し、当該患者の呼吸機能検査結果と対比した。その結果、呼吸機能と肺気腫の重症度には必ずしも正の相関がないことが判明した。肺気腫のタイプと呼吸機能との相関も明らかには認められなかった。しかし、COPD stageとCAT score(肺気腫に関するQOLアンケート)との相関関係は高いことが分かった。 また、2010年度の千葉市肺がん検診2次精検にて撮影されたCT185件に関しても同様の調査を行い、上記検討と同様の結果を得た。COPDと肺癌との関連に関して文献的研究を行い、その結果をEuropean Respiratory Journalに投稿しacceptされた。平成24年度に掲載される予定である。 さらには、肺がん手術症例の長期予後調査を行い、術前COPDが重症なほど術後の長期予後が低下することが判明した。この結果もThoracic and Cardiovascular Surgeonに投稿し、acceptされ、平成24年度に掲載予定である。 以上のように、研究成果として1本の原著論文と1本の総説が英語論文として掲載予定であり、肺気腫の画像解析も予定通り進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの物品購入および論文作成ができた。特に本研究の学問的裏付けとなる総説がacceptされたことは、今後の研究の土台形成として極めて重要であると考えている。研究面でも、画像解析および臨床検査との関連の検討を行うことができた。これは24年度でも同様に継続し、症例数を増やしていく予定である。次年度の病理学的解析につながる可能性が出てきたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度と同様にCOPD症例数をさらに増やして、肺気腫画像と呼吸機能及びQOLとの関係を検討していく。外科手術標本に関してはCOPDからの肺癌発症メカニズムを探るべく、候補となる遺伝子の免疫染色を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
病理検体による病理学的検索 22年度~24年度に手術により摘出された肺をフォルマリン固定、パラフィン包埋し、薄切標本を作成する。免疫染色により、COX-2、FOXP、HIF1-α、VEGF、p16、 p21、MMP-7、 MMP-9、 TIMP-1、 TIMP-2の発現を、COPD肺癌、非COPD肺癌の腫瘍組織において検討する。 また、手術により摘出した肺癌症例の腫瘍組織と正常組織の一部を別々に凍結保存する。免疫染色の検討により発現を認めた蛋白質に対して、組織より抽出したmRNAを用いてRT-PCRにより遺伝子発現を検討する。また組織より抽出した蛋白質を用いてWestern blotting法によりそれぞれの蛋白質の定量を行う。非腫瘍組織においても同様にRT-PCRおよびWestern blotting法によりRNAの量および蛋白質の量を検討し、COPD肺癌の非腫瘍組織に起きている遺伝子異常および蛋白発現の異常を検討する。画像解析 23年度と同様にHRCT画像の解析と呼吸機能およびWOLスコアとの関連の調査を継続して行う。
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