2012 Fiscal Year Research-status Report
安全な脳梗塞治療法の開発:スタフィロキナーゼの応用
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23592082
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
嶋村 則人 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40312491)
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Keywords | 脳塞栓 / 脳梗塞 / tPA / SAK |
Research Abstract |
ヒト心原性脳塞栓症の病態を模したラット脳塞栓症モデル(大腿動脈から採取した動脈血とトロンビンを混合し、硬い血栓を作成する。定量的血栓を内頸動脈に注入し、脳梗塞を作成する)を確立させた。本モデルについては、第28回日本脳神経血管内治療学会シンポジウム、第38回日本脳卒中学会総会一般口演にて発表した。現在、Transrational Stroke Reserch誌に投稿し、Revision中である。 次に、プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)をコントロールとしてPolyethylene glycol staphylokinase (PEG-SAK) を本モデルラットに投与し、血栓溶解能力や組織障害性の有無につき検討している。血栓溶解作用はtPAより、わずかに弱い。出血性梗塞はtPAよりもSAKで少ない傾向であった。脳浮腫は両群間で有意な差を認めなかった。24時間後の評価では、tPA治療群とSAK治療群では神経症状および脳梗塞範囲は有意差を認めない。ラットを対象とした検討では、SAKはtPAに代わりうる薬剤である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①ヒト心原性脳塞栓症と同じ病態のラット脳塞栓症モデルを新規に確立させ、Transrational Stroke Reserch誌に投稿し、Revision中である。②ラットに対しては、SAKの神経毒性は認められない。③SAKを用いた脳梗塞治療については、SAKはラットの体内で血栓溶解作用を示すが、その血栓溶解作用はtPAと同程度ないしわずかに弱いようである。④脳浮腫はSAK、tPAともに同程度であったが、出血性梗塞はtPAよりもSAKで少ない傾向であった。⑤24時間後の評価では、tPA治療群とSAK治療群では神経症状および脳梗塞範囲は有意差を認めない。以上から、ラットを対象とした検討では、SAKはtPAに代わりうる薬剤である可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の標本を元に、tPA特有な神経障害作用に対するSAKの神経障害作用について病理組織学的検討やタンパク発現などの詳細な機序を検討する。血液脳関門の維持やNeurovascular Unitの温存についても免疫組織学的検討を行う。 ラット脳塞栓モデルを用いて、長期生存における神経学的回復について検討する。脳虚血後10日、20日、30日の各時間においてSAK治療群とtPA治療群での神経症状、脳梗塞領域、脳出血の有無について検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年5月20日にBrain 2013(国際脳循環代謝機能シンポジウム@上海)において、確立してモデルについての発表を行う。また、実験成果について引き続き論文発表を行っていく。 実験では、ラット、薬剤(SAK、tPA)、試薬などの消耗品が主体となる。25年度前期に多くの研究費を要する見込みである。後期は論文投稿に伴う英文校閲料が必要とされる。
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Research Products
(4 results)