2013 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性ビタミンE誘導体による外傷性てんかん発症予防の実証的研究
Project/Area Number |
23592099
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
横井 功 大分大学, 医学部, 教授 (80150366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 敬明 大分大学, 医学部, 教授 (20211196)
徳丸 治 大分大学, 医学部, 准教授 (40360151)
西田 育弘 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (90172668)
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Keywords | 外傷性てんかん / てんかん焦点形成予防法 / ヘモグロビン / ラジカル消去剤 / α‐リポ酸誘導体 / α‐トコフェロール誘導体 / 核磁気共鳴(NMR)法 / 電子スピン共鳴(ESR)法 |
Research Abstract |
雄SDラット大脳皮質運動野内にヘモグロビン(Hb:Fe量45nmol)を注入し、より臨床病態に近い外傷性てんかん(PTE)モデルラットを作成し、ジヒドロリポイル-ヒスチジン亜鉛キレート化合物(DHL)のPTE焦点形成予防効果を検討した。Hb注入後DHL含有餌料で飼育(DHL約100 mg/kg/day)したラットの摂食量、飲水量、体重変化に差は認められなかった。7ケ月後、Hb注入ラットの半数には発作間欠期棘波様脳波変化が継続していたが、約67%のDHL投与群の脳波にも同様の異常波が認められた。 一方、DHLはTBARS法によりヒドロキシルラジカル(・OH)に対し抗酸化能を有すること(ED50:0.69mM)、電子スピン共鳴(ESR)法でDPPH、スーパーオキシドアニオン(O2・-)、ビタミンCラジカル(・VC)を消去することがわかった(ED50:0.1~20mM)。しかし、1mM以上の濃度では・OH量を増加させたことからラジカル発生を促す可能性も示唆された。以上の結果はDHLでPTEの発症予防は難しいことを示唆する。 次にビタミンE、グルタチオン、タウリンをマレイン酸で結合した水溶性ビタミンE化合物(ETS-GS)を合成しラジカル消去能と脳機能への影響を検討した。ETS-GSはTBARS法により・OHに対し抗酸化能を示した。また、ESR法でDPPH、・OH、O2・-、・VC、t-BuOO、NOを消去した(ED50:0.8~63mM)。さらに、0.1mMのETS-GSは脳虚血で枯渇するクレアチン燐酸(PCr)量の回復を促進した(32P-核磁気共鳴法による)。これは虚血再還流で発生する活性酸素種が障害するPCr合成系を酸化障害から保護したことを意味する。ETS-GSはDHLより活性酸素消去能は低いが、活性酸素種による脳機能障害を軽減することを明らかにした。
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Research Products
(6 results)