2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592101
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
鰐渕 昌彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30343388)
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Keywords | mesenchymal stem cell / transplantation / immunity |
Research Abstract |
骨髄の間葉系幹細胞は,脊髄損傷モデルにおいて治療効果を有することを明らかにし,その内在するメカニズムとして,神経栄養・保護作用,軸索損傷の再生,脱髄軸索の再有髄化,免疫調節作用,血管新生作用が関与している可能性を提唱してきた.脊髄損傷のみならず脳梗塞の患者に対しても,間葉系幹細胞は梗塞巣の縮小や神経脱落症状の改善効果を示すことが明らかとなっている.本計画はヒト間葉系幹細胞の免疫学的作用機序解明を目的としている. 前年度は,ヒト間葉系幹細胞の細胞性免疫と液性免疫に対する基礎的データの解析を開始した.本年度は引き続き,cell lineや血液から単離培養したヒト間葉系幹細胞における,遣伝子レベルならびに細胞表面の抗原提示に関与する分子,サイトカイン放出パターンの解析を行った.ヒト間葉系幹細胞の培養条件を種々変更して,細胞性免疫に関与するCD分子のDNAレベルでの発現,fluorescence-activated cell sortingによる細胞表面への発現,ケモカインなどの液性免疫の関与を調べた.また,ヒト間葉系幹細胞に対する刺激を変化させることにより,抗原性や反応性がどのように推移するかなど,移植免疫を想定してデータを収集してきた.これらのMHCやCD分子の発現状態,炎症性サイトカインについて得られた結果は,骨髄間葉系幹細胞の移植における細胞自体の遊走・生着,移植後の宿主側の変化など,臨床への応用を想定したもので,生体内での反応予測など免疫学的に重要なデータになると考えられる.以上のように,補助金は有効に使用されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように,前年度は未刺激時におけるヒト間葉系幹細胞(hMSC)の細胞表面分子の発現,液性サイトカインにつき検討してきた.本年度は,hMSCに対する刺激を変化させることで,実際の移植を想定した免疫学的基礎データを収集することができた.次年度もさらに解析を進行させていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
培養条件を変化させたヒト間葉系幹細胞(hMSC)とT細胞,B細胞との共培養による反応を検討し,in vivoでの研究に移行していく予定である.また,さまざまな分化段階のhMSCに対して,抗原性の解析,液性免疫の関与を検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は前年に購入した抗体,炎症性サイトカインの測定試薬などが十分使用できたため,使用額が予定額を下回り残額が生じました. 平成25年度の研究費は,刺激条件変更のための試薬購入,リンパ球分離のための試薬,必要物品購入学会発表の旅費などに使用する予定である.
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