2013 Fiscal Year Research-status Report
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23592132
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河原 康一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00400482)
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Keywords | 癌 / 脳腫瘍 / 予後関連分子 / p53経路 / 抗がん剤 / 核小体ストレス応答 |
Research Abstract |
ヒトグリオーマの予後に関連する19q13ゲノム領域に存在するPICT1遺伝子を解析したところ、PICT1はリボソームタンパク質L11を核小体へ留めることで核小体ストレス応答を制御すること、PICT1遺伝子を欠損させると核小体ストレス応答を起こし、p53の増加による細胞増殖抑制を起こすことをES細胞や欠損マウスを用いて明らかにしてきた。本研究ではPICT1のヒトグリオーマにおける役割を明らかにし、治療薬開発へつなげることを目的とする。 まず、shRNAをグリオーマ細胞へ導入し、PICT1の発現を抑制した。PICT1を抑制した細胞は、p53の安定化を認め、著しく細胞増殖が抑制された。この効果は、野生型p53を発現する細胞ではみられるが、変異p53を発現する細胞ではみられないことから、PICT1による細胞増殖制御はp53に依存性であった。次に、PICT1遺伝子欠損マウスを作製し、個体レベルでPICT1の発がんにおける機能を解析した。PICT1遺伝子をヘテロ欠損するマウスは野生型マウスに比べDMBA、TPAによる皮膚化学発癌が著しく抑制されることを見出した。このようにPICT1を発現抑制することで、腫瘍化進展を抑制できると考えられ、PICT1の発現や機能を抑制する薬剤は抗がん剤となると予想された。PICT1はRPL11との結合によってp53の発現を制御することから、次にPICT1-RPL11分子間結合を検出できるシステムの構築を行うこととした。すなわち、PICT1とRPL11を組み換え蛋白質として調整し、AlphaScreen法によってPICT1-RPL11タンパク質の分子間結合を測定できる検出法の構築を進めている。今後、AlphaScreen法によってPICT1とRPL11との結合を阻害できる薬剤を探索し、新規作用機序を持つ抗がん治療薬を開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで不明であったグリオーマでのPICT1の役割が解明でき、PICT1を標的とした治療薬スクリーニング系の構築も進めていることから、今後PICT1を標的とした新規な作用をもつ抗がん治療薬の開発が期待できる。このように、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
AlphaScreen法を用いたPICT1とRPL11とのタンパク質分子間結合を検出できる系の構築を完了させる。まず、大腸菌内でPICT1及びRPL11組換えタンパク質を発現精製する。次に、AlphaScreen法を用いて、これら蛋白質の結合を検出できる条件を決定する。特に、AlphaScreen法の検出に当たっては、非標識タンパク質を過剰に添加することで、標識タンパク質との結合競合阻害が起こるか等を検討し、定量的に分子間結合を検出できるかを確認する。結合量を定量できるシステムを作製したのちは、標準化合物を用いて小規模なスクリーニングを行う。ここで化合物が得られたならば、大規模な化合物ライブラリーを用いてスクリーニングを実施し、より効果のあるシード化合物を選択する。シード化合物は、p53が保たれたがん細胞へ添加し、抗腫瘍効果の有無を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24,25年度に、PICT1とRPL11との結合領域の決定とグリオーマの新規治療薬の開発を行うことを予定していたが、この測定のために必要なPICT1タンパク質を小麦胚芽抽出液を用いたin vitro translation法によって合成を試みたが十分な量が得られず、測定を完了させることができなかったため、未使用額が生じた。 今年度、PICT1タンパク質を大腸菌の組換えタンパク質として発現精製し、これを材料としてPICT1-RPL11との結合領域の決定と結合阻害化合物のスクリーニングを行うように計画を変更し、未使用額はその経費に充てることとする。
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[Journal Article] Inhibition of PTEN tumor suppressor promotes the generation of induced pluripotent stem cells.2013
Author(s)
Liao J, Marumoto T, Yamaguchi S, Okano S, Takeda N, Sakamoto C, Kawano H, Nii T, Miyamato S, Nagai Y, Okada M, Inoue H, Kawahara K, Suzuki A, Miura Y, Tani K
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Journal Title
Molecular Therapy
Volume: 21
Pages: 1242-1250
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] PICT1 regulates TP53 via RPL11 and is involved in gastric cancer progression.2013
Author(s)
Uchi R, Kogo R, Kawahara K, Sudo T, Yokobori T, Eguchi H, Sugimachi K, Maehama T, Mori M, Suzuki A, Komune S, Mimori K
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Journal Title
British Journal of Cancer
Volume: 109
Pages: 2199-2206
DOI
Peer Reviewed
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