2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592178
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20345218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門野 夕峰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70401065)
平田 真 東京大学, 医学部附属病院, 届出診療医 (50401071)
中川 匠 帝京大学, 医学部, 教授 (90338385)
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Keywords | 骨軟部腫瘍 |
Research Abstract |
骨原発悪性腫瘍の中で最も発生頻度が高い骨肉腫の治療法は手術と化学療法による腫瘍標的治療であった。この10年間、治療成績の大きな向上はなく、腫瘍のみを標的とする治療が行き詰まりを見せていることから、新たな治療法の展開が求められている。 我々は、破骨細胞の分化・生存・骨吸収を促進する破骨細胞分化誘導因子RANKLに着目した。近年、RANKLが腫瘍細胞に直接作用して腫瘍の増殖・転移を促進していることが報告されたため、RANKLを標的とした新規治療の妥当性・有効性に関する解析を行っている。 平成24年度は前年度に引き続き、骨肉腫症例におけるRANKLならびにRANKL受容体RANKの発現と臨床像との関連性を明らかにするために、蓄積された骨肉腫症例の組織を用いて、免疫組織学的手法やRT-PCRなどによってRANKLならびにRANKの発現をタンパクレベルとmRNAレベルで定量的に検出することを検討した。 これまでにRANKのRANKL結合領域とヒトIgGのFc鎖からなる融合タンパクであるRANK-Fcがin vitroの実験系において、破骨細胞の分化・生存・骨吸収能の抑制効果を持つことが確認できた。細胞培養系におけるRANKLシグナル阻害の抗腫瘍効果を確認するために、市販の細胞株で条件設定を検討し、並行して骨肉腫組織から骨肉腫細胞株の樹立を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨肉腫症例におけるRANKLならびにRANKL受容体RANKの発現と臨床像との関連性を明らかにするために、骨肉腫症例の組織を用いて免疫組織学的手法やRT-PCRなどによってRANKLならびにRANKの発現をタンパクレベルとmRNAレベルで定量的に検出することを検討したが、再現性のあるデータを得る条件設定に難渋している。また、これまでのところ、臨床像との有意な関連が得られず、解析症例数の増加を検討している。 RANKL阻害物質としてRANK-Fcを使用し、in vitroの実験系において、破骨細胞の分化・生存・骨吸収能の抑制効果を持つことが確認できたが、すでに臨床応用されたヒトモノクローナル抗RANKL抗体であるDenosumabを用いた研究が望ましいと考え、Denosumabを材料として用いた研究へ変更するべく、条件を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
骨肉腫症例におけるRANKLならびにRANKL受容体RANKの発現と臨床像との関連性を明らかにするためには、骨肉腫症例の組織を用いて、免疫組織学的手法やRT-PCRによってRANKLならびにRANKの発現をタンパクレベルとmRNAレベルで定量的に検出することが必須であり、また有意な関連性を示すためには、解析症例数の増加が必要と考えている。 In vitroの系ではRANKLシグナルの阻害物質としてRANK-FcではなくDenosumabを用いた実験を進める予定である。Denosumabの腫瘍原性に与える影響を検証するために、接着非依存性の解析、増殖能の解析、局所侵入能の解析、遊走能の解析、組織分解能の解析を進める。対象とする骨肉腫株は、独自の細胞株樹立を進めながら、既存の細胞株を使用する。 細胞培養系で、効果が確認された場合は、in vivoの実験に移行する予定である。骨肉腫細胞株をヌードマウスの脛骨に移植するマウス骨肉腫モデルを用いて、Denosumabの治療効果と副作用の解析を行う。具体的にはa. Denosumabの治療効果の解析(生存曲線、腫瘍体積評価など)、b. RANK/RANKLの発現レベルと予後の相関の検討、c.屠殺時の血液検査と組織学的検査による有害事象解析について評価・検討することで、病態への関与を解明し、臨床応用への基盤確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度にあらたな機材の購入予定はなく、研究費は試薬などの消耗品が大部分となる予定である。消耗品としては、免疫組織学的関連試薬やRT-PCR関連試薬、細胞培養関連試薬、そして動物実験に移行した場合はマウス飼育関連機材が必要となる。 また、成果が得られた場合は発表のための学会参加、学術誌への投稿費用が必要となる。
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Research Products
(6 results)