2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒト分離滑膜細胞と細切軟骨片を用いた一期的自家軟骨移植用インプラントの作製
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23592235
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中川 晃一 東邦大学, 医学部, 教授 (30400823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 保親 東邦大学, 医学部, 講師 (70584001)
中島 新 東邦大学, 医学部, 講師 (60583995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 軟骨再生 / 滑膜 / ヒト |
Research Abstract |
Tissue culture insertの下面に播種(micromass culture)したヒト滑膜細胞を10% FBSおよび0.2 mM Asc2-P を添加した DMEM/F12 培地にて2日間培養し、細胞接着後上面に細切軟骨片を加えて共培養を行いました。12時間無血清培地とした後、1% FBS, 1% ITS mix, 160μg/ml sodium pyruvate, 100 ng/ml dexamethasone, 0.2 mM Asc2-P を添加した DMEM/F12培地に変更し、さらに2週間培養しました(Positive controlは、5ng/ml TGF beta-1 およびinsulin 添加群、negative controlは、滑膜細胞のみの群および freeze & saw を行った細切軟骨片との共培養群)。組織学的検討をトルイジンブルー、サフラニン-O による染色で、生化学的検討をプロテオグリカン(PG)含 有量測定(DMMB法)で行なったところ、共培養群で軟骨分化が促進する傾向がみられました。また蛍光顕微鏡による観察で、PKH26で標識された滑膜細胞が軟骨様細胞へ分化していることが確認されました。現在は、追加して行なった実験のサンプルを用いて、免疫染色、各種増殖因子、サイトカインのreal-time RT-PCR、コラーゲン含有量測定を施行中です。また、平行して ヒト分離滑膜細胞と細切軟骨片を含む移植用インプラントを作製し、試験管内で培養する実験も開始し、組織学的検討を行なっています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
滑膜細胞をmicromass cultureし、細切軟骨片と共培養を行った実験では、動物実験でみられたほどの有意差は得られませんでしたが、ヒト滑膜細胞を用いた場合でもほぼ同等の結果が得られることが明らかとなりました。サンプル量が少なかったため、real-time RT-PCR、コラーゲン含有量の解析が遅れていますが、現在実験を追加して 解析中です。一方、上記結果が得られたことから、平成24年度に行なう予定であったヒト分離滑膜細胞と細切軟骨片を含む移植用インプラント(フィブリンゲル使用)の作製と試験管内で培養する実験をすでに開始しており、この点は計画よりも順調に進行しています。
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Strategy for Future Research Activity |
滑膜細胞をmicromass cultureし、細切軟骨片と共培養を行った実験で、ほぼ予想された結果が得られたことから、予定通り、ヒト分離滑膜細胞と細切軟骨片を含む移植用インプラント(フィブリンゲル使用)の作製と試験管内で培養する実験を進めていきます。滑膜細胞密度は動物実験では1 million/mlで十分でしたが、ヒト細胞では至適な細胞密度を 検討する目的で、1, 2, 4 million/mlの3種類の細胞密度について検討する必要があります。また、ゲルの強度を高める目的で、すでに軟骨移植への応用が報告されているChitosan(%deacetylation90%以上)やフィブロインゲルの併用を試みる予定です。軟骨分化促進効果を期待して、PRP調整専用遠心器(DePuy社製SYMPHONYTM)を用いて、血液からPlatelet-rich plasma(PRP)を精製し、PRPゲルを用いた場合について も検討を行う予定です。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、前述の通り、ヒト分離滑膜細胞と細切軟骨片を含む移植用インプラント(フィブリンゲル使用)の作製と試験管内で培養する実験を行います。細胞培養用の消耗品(培養皿、培養液、血清、増殖因子、酵素など)、抗体試薬、分子生物学的解析用試薬、組織染色用試薬が必要であり、これらに研究費を使用させていただきます。また、実験の伸展状況によっては、Chitosan(%deacetylation90%以上)やフィブロインゲル、PRP調整用消耗品も必要となりますので、これらの購入にも充てさせていただきます。
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