2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592251
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西脇 公俊 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10189326)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 脳死 / 肺移植 / 神経原生肺水腫 / ARDS / 肺血管透過性 / neuropeptide Y |
Research Abstract |
Neuropeptide Yの細胞レベルでの血管内皮細胞透過性亢進作用の検討に先に着手した。ラットの肺血管内皮細胞の単層培養を、すでに確立している大動脈内皮細胞の単層培養法に準じて、ヒト肺血管内皮培養細胞を購入し、実験材料とした。大動脈内皮細胞の単層培養法と同じ実験条件(具体的にはダブルチャンバー法を用い、内側のインターセルにヒト肺血管内皮培養細胞を4.6 x 105 cells/0.48 cm2 まいて4日間培養し、その後インターレス内に投与した蛍光標識アルブミンの外側のチャンバー内へのアルブミンの移行を透過性の指標とする)でインターセル内に投与するNeuropeptide Yの濃度を10-12~10-8 g/ml (2.3 x 10-13~2.3 x 10-9 M)の濃度で変化させて検討した。当初、Neuropeptide Y濃度依存性に透過性が亢進し10-9 g/ml, 10-8 g/mlでほぼプラトーになる結果が得られたので、実験個体数を増やしていったが、その容量反応が不安定であった。そこで実験条件を、蛍光測定のためのプレートの条件、インターセル内にはるコラーゲンコーティングの種類、培養条件、インターセル内での培養期間と培養細胞の密度、Neuropeptide Yの投与濃度などについて、さまざまの実験条件を設定して再度検討した。その結果、1.蛍光測定のためのプレートは、透明プレートでは近隣のウェルの蛍光が干渉している可能性あり、干渉を防ぐことができる黒プレートを用いれば問題解決することが判明した。 2.培養条件としてはwell中の培地の有無は細胞数に関与しないことが判明した。 3.インターセル内での培養期間が4日間ではインターセルのメンブランにまばらにしか細胞が培養されておらず、ヒト肺血管内皮培養細胞では4日間の培養期間では不十分でありることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、大動脈内皮細胞で用いたのと同じ条件で実験が行える見通しであったが、実験個体数を重ねるごとに結果が不安定であることが判明し、培養期間や使用する道具など様々な条件を見直さなければならなくなったので。
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Strategy for Future Research Activity |
実験結果が不安定となった最大の要因は、ヒト肺動脈内皮細胞の培養において、培養日数が4日間では不十分なことであり、その適切な培養日数を設定することが重要である。他の実験結果からは10日間ほど必要と見込まれるので、その適切な培養日数を確定することが最優先課題である。それを確定させたら、次に適切なneuropeptide Yの濃度範囲を確定する。その上で、neuropeptide Yが肺血管内皮細胞に直接働きかけて、透過性を亢進させているかどうかを見極める。 その上で、さまざまな細胞内メッセンジャーの阻害薬を使用し、どの経路がneuropeptide Yによる肺血管透過性更新に関与しているかを明らかとする。 また、ラット脳死モデルでの神経原生肺水腫発生に関わるneuropeptideの検討を進める。具体的にはラットをペントバルビタール腹腔内投与によって麻酔後、動静脈にカニュレーション、気管切開し人工呼吸管理とした後、伏臥位として大後頭孔経由で第四膿室にカニューレを留置し、生理食塩水注入により体血圧以上の脳圧としてラット脳死モデルを作成する。その後6時間に渡って血液ガス分析による肺障害を評価すると共に、血液を採取し、NPY, CGRP, substance Pを測定し、6時間後にBALを行った後に肺を摘出する。肺のWet/Dry Ratio、肺組織のNPY, CGRP含有量の測定などを行い、肺水腫発生とNPY,CGRP, substance Pとの関連を探る。 肺水腫発生に関わるneuropeptideの拮抗薬(NPY-Y3受容体アンダゴニストであるNPY(18-36)など)の前投与、脳死作成直後の投与等の条件で同じ実験を繰り返し、それら拮抗薬の肺水腫発生予防および治療効果について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、培養細胞や、その培地、蛍光標識アルブミンなど消耗品費、および学会での情報収集や発表のための旅費に使用予定である。
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Research Products
(2 results)