2012 Fiscal Year Research-status Report
低酸素傷害に対する麻酔薬の神経保護―バイオイメージングによる残存神経細胞の解析
Project/Area Number |
23592253
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁田 達史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20324767)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上林 卓彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10273640)
宮本 善一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70278844)
小阪 淳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40243216)
|
Keywords | 培養神経細胞 / ケタミン / グルタミン酸 |
Research Abstract |
今回の我々の研究では、ウイスターラット妊娠16日目の胎児から大脳皮質神経細胞ならびに海馬神経細胞を分離した初代培養神経細胞に対してグルタミン酸を付加し、人工的に脳虚血状態モデルを作成した。培養神経細胞に対し、静脈麻酔薬ケタミンを付加した場合において、人工脳虚血状態を発生させ、形態学的に生存と判定された脳神経細胞に対してカルシウムイメージングを行い、細胞の分子生物学的特徴を明らかにすることを目標とした。 目標通り、平成24年度においては、ラット16日目の胎児から大脳皮質神経細胞ならびに海馬神経細胞を分離し、硝子ボトムディッシュ(松浪硝子D111505)上に初代培養を行った。培養液の組成や交換方法などに改良を加えた結果、非常に良好かつ安定的な培養神経細胞が作成可能な状態となった。この細胞を利用し、14日間の培養後、Ca2+感受性インディケーター及び共重合型界面型活性剤プルロニックF-127を暴露し、油浸対物レンズFlour (Carl-Zeiss)を装着した倒立顕微鏡Axiovert 200 (Carl-Zeiss) 、CCDカメラ(Orca FR, 浜松フォトニクス)、画像イメージ処理用のAquacosmos (浜松フォトニクス)の設備を利用し、蛍光励起(fluorescence excitation)のための150Wのキセノンランプを暴露することにより、GABAやグルタミン酸などの神経刺激物質を加えた際の蛍光強度の上昇を細胞内カルシウム濃度の変化として測定している。その際に、グルタミン酸付加前に静脈麻酔薬ケタミンを加えることにより、細胞生存率やカルシウム濃度の変化にどのような影響を与えるかのデータを収集している。現在、概ね順調にデータが収集されつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初代培養神経細胞をカルシウムイメージングのため、硝子ボトムディッシュ上で観察に適切なように培養するのは非常に困難であると思われたが、培養液の組成や交換頻度の工夫により概ね良好な結果が得られるようになり、来年度以降の研究に好ましい影響を与えられると思われた。 以上の事よりおおむね順調に進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在使用している静脈麻酔薬ケタミンの他、チオペンタールナトリウム、プロポフォール、さらには、低温療法を実施し、人工脳虚血状態に対し、神経保護作用がしめされた初代培養神経細胞に対して、神経刺激物質としてグルタミン酸の他に、NMDAを用い、カルシウム濃度を測定する。この実験により、通常の初代培養神経細胞と人工脳虚血状態において生存することが可能であった培養神経細胞におけるグルタミン酸やNMDAに対する反応性の差異を調べる。これらの実験の完了後に、同様の低酸素傷害モデルを使用し、神経細胞保護療法を行った各生存細胞に対し、GAD65, GAD67に対する免疫組織学的染色を行い、薬物及び低温療法のGABA作動性神経細胞に対する特異性を明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養実験のための器具、材料、試薬。 学会参加をはじめとする調査、資料収集旅費、研究打合せ旅費。
|
Research Products
(3 results)