2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592342
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
北村 寛 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00404674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20301400)
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20295356)
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Keywords | がんワクチン |
Research Abstract |
1. MHC class I拘束性ペプチドを用いたワクチンを凌駕する新規がんワクチンの選定:当初はリポソーム内にサバイビン抗原ペプチドを包埋した新規ワクチンを合成し、動物実験にてその有効性を検討していた。しかし従来のペプチドワクチンを大きく上回る抗腫瘍効果を得られず、リポソーム合成業者の操業中止による試薬供給停止があり、別のワクチンを選定することになった。そこでMHC class Iエピトープとclass IIエピトープを含有するロングペプチドワクチンを開発し、実験を開始した。エピトープはヒトとマウスで共通のアミノ酸配列を有するサバイビンCとした。このロングペプチドワクチンは従来のMHC class I拘束性ショートペプチドワクチンと比較して免疫誘導および抗腫瘍効果に優れ、かつ重篤な有害事象は認めていない。 2. ワクチンの免疫学的効果を最大限に生かすアジュバントの開発:サバイビンCロングペプチドは不完全フロイントアジュバント(IFA)のみで従来のMHC class I拘束性ペプチドを凌ぐ免疫誘導および抗腫瘍効果を示した。臨床応用を踏まえて安全性を考慮し、現時点ではアジュバント薬剤はIFAのみで研究を進めている。 3. 選定したワクチンの投与間隔および投与回数の至適プロトコールの決定:サバイビンCロングペプチド+IFAをワクチンとした動物実験を繰り返し、至適投与間隔と投与回数を明らかにした。 4. 基礎研究結果をもとにした臨床第I相試験の実施と安全性と免疫反応および再発予防効果の検討:現在ロングペプチドとMHC class I拘束性ショートペプチドを組み合わせたワクチン投与法の動物実験を行っている。この結果をもとに臨床第I相試験への準備を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サバイビンCを標的としたロングペプチドワクチンを合成し、これを用いたがんワクチンの至適プロトコールがほぼ確立したため。ただし免疫学的データの裏付けや、臨床試験実施に向けての準備が必要であり、次年度も活発な研究活動が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. サバイビンCロングペプチドによるがんワクチンの動物実験を完遂する。具体的には、腫瘍移植モデルにおける抗腫瘍効果の再現性の確認、エピトープ特異的CD8+ T細胞やCD4+メモリーT細胞の持続性に関する検討、ロングペプチドとショートペプチドを組み合わせたプロトコールの検討、などが挙げられる。 2. 上記の動物実験結果を基に、臨床第I相試験に向けた準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウス購入および飼育費、ワクチン合成費、不完全フロイントアジュバント購入費、腫瘍移植実験に関わる試薬費、免疫学的解析に関わる試薬費、研究成果の学会発表に関わる費用 今年度残額が生じた経緯は、リポソームワクチン合成費用を計上していたが業者の事情により発注できずに終わったこと、研究の中間経過を学会発表する予定であったが見合わせたこと、などによる。
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