2011 Fiscal Year Research-status Report
ファージデイスプレイ法より前立腺癌の癌特異抗原に対し単離した完全ヒト型抗体の研究
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23592353
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
白木 良一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70226330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星長 清隆 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30229174)
赤堀 泰 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (80221711)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 免疫療法 / 抗体 / 前立腺膜抗原(PSMA) / 癌特異的抗原 / 去勢抵抗性前立腺癌 |
Research Abstract |
前立腺上皮細胞の構造蛋白であるProstate specific membrane antigen (PSMA)は、内分泌療法下で増幅されることが実験的に証明され、分化度の低い前立腺癌に強く発現が増強する傾向や、大部分の固形腫瘍の新生血管構造においても発現すると報告されている。このことから、臨床応用可能な前立腺癌マーカーとしてだけでなく、診断、治療における標的分子として有望と考えられている。藤田保健衛生大学総合医科学研究所抗体プロジェクトでPhage display法を用いてヒト抗体ライブラリー【antibody intended for multiple screenings(AIMS)5ライブラリー】が作成された。この抗体ライブラリーから現在までにファージ・デイスプレイ法を用い、ICOS法(J Immunol Methods. 351:1-12、2009)によりPSMAに対する抗体(75-10)を単離した。臨床検体として、前立腺がん患者の前立腺がん組織、良性組織部分、前立腺肥大症患者の切除前立腺肥大症組織を用い、PSMAに対する抗体だけでなく、他の癌種に反応を有した他の抗体等も用いた。これにおいては、本学倫理審査委員会に研究計画および患者説明書、同意書等を提出し、厳正な審査により認可されたものにより患者同意を得た組織を使用した。抗PSMA抗体および既に抗原決定されている抗体(15種類)を用いて前立腺癌組織20例、良性前立腺組織20例に対して免疫組織染色を行なうことにより、ヒト抗体ライブラリーで単離に成功した抗PSMA抗体の有用性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、前立腺がん細胞株であるLNCapのFACSによる検討において、LNCaPには反応し、腎がん細胞株であるCCFRC1には反応しないことが確認できた。PSMA遺伝子ノックダウンを行った細胞と行わなかった細胞において抗体クローン75-10のPSMA分子認識能を比較したところ、PSMA遺伝子ノックダウンを行った細胞では、75-10の認識が低下していることが確認できた。次に、抗PSMA抗体および既に抗原決定されている抗体(15種類)を用いて前立腺癌組織20例、良性前立腺組織20例に対して免疫組織染色を行なうことにより、ヒト抗体ライブラリーで単離に成功した抗PSMA抗体(75-10)の有用性を検討した。既にICOS法を用いてAIMS-5 library より単離し認識抗原が決定された抗体として、MCP、ALCAM、JAM-1、ICAM、PSMA(75-10)にたいする抗体を用いた。臨床検体として、良性前立腺組織ではMCP、ALCAMが19例/20例(95%)、JAM-1は16例/20例と80%以上の症例で陽性であったのに対し、ICAM、PSMA陽性例はそれぞれ1例のみであった。一方、前立腺癌組織ではALCAMが全例で膜陽性を示し、PSMAは19/20(95%)、EpCAM、MCPは14/20(70%)が膜陽性であった。以上より、PSMAに対する単離抗体(75-10)が前立腺がんの臨床検体を用いた検討において、感度および特異度共に満足できる癌特異的な認識能を有することが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにAIMS library より単離した抗体(75-10)の前立腺癌細胞に対する特異的な反応性については証明された。今後は、この抗体が認識する前立腺がん細胞の特徴を解析することと本抗体の機能解析に研究対象が移行する。すなわち、前立腺癌は他の癌腫に比べ比較的heterogenecity が強い癌腫であり、分化度の良い(グリソンスコアが低い)癌では進行が遅く予後も良好であるのに対し、分化度の悪い(グリソンスコアが高い)癌では進行が速く予後も不良好である。PSMAは分化度の低い前立腺癌に強く発現が増強する傾向や、大部分の固形腫瘍の新生血管構造においても発現すると報告されている。そのため、今回単離された抗体が臨床検体において如何なる性格の前立腺がん細胞により特異性を持っているのかを、臨床検体での染色につき検討し解析する。一方、本抗体の機能解析には、ファージ抗体をScFV-formより IgG-formへの変換を行いIgG抗体化する。完全ヒト型抗体を用い、樹立されたヒト前立腺癌細胞株に対するin vitroでのADCC活性およびCDC活性、リン酸化阻害や細胞増殖抑制等により抗体の生物学的抗腫瘍活性を解析する。他の抗原の染色性との相関を検討し、前立腺癌治療に有望と考えられる完全ヒト型抗体を選択し、後の動物実験での抗腫瘍効果解析を継続する。ヒト前立腺ガン細胞を担癌したヌードマウスを用い、腫瘍増殖抑制効果の有無や至適投与条件や副作用を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主には、この抗体が認識する前立腺がん細胞の特徴を解析する。すなわち、臨床検体における染色細胞のcharacterize する。前立腺癌は他の癌腫に比べ比較的heterogenecity が強い癌腫であり、分化度の良い(グリソンスコアが低い)癌では進行が遅く予後も良好であるのに対し、分化度の悪い(グリソンスコアが高い)癌では進行が速く予後も不良好である。PSMAは分化度の低い前立腺癌に強く発現が増強する傾向や、大部分の固形腫瘍の新生血管構造においても発現すると報告されているので、臨床検体での染色につき検討する。一方、後の機能解析に備え、本抗体を安定した状態のIgG化した抗体として作成し利用できるよう準備する。本研究では、PSMAの有用性に着目し、このファージプールから前立腺特異的膜抗原(PSMA)の単離を行い、さらに既に単離され、抗原決定された個々の特異的抗体を用いて免疫組織染色を行うことにより前立腺癌組織に特異的染色像を与えるクローンを選別し、将来の前立腺癌の診断および治療薬としての臨床応用に向けて抗体の有用性を検討する。
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Research Products
(4 results)