2011 Fiscal Year Research-status Report
尿路結石症予防法の確立に向けた遺伝因子・環境因子両面からの横断的研究
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23592374
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 恭典 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70295608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40326153)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70444966)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 尿路結石症 / 酸化ストレス / オステオポンチン / アディポサイトカイン / OPNノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
尿路結石形成においてOPNと相互作用する物質の同定とその機能解析 結石モデルマウス、OPNノックアウトマウス、OPNプロモーター領域のトランスジェニックマウスを用い、Glyoxylate100mg/Kgを14日間腹腔内投与し、結石形成の有無をPizzolato染色、偏光顕微鏡で観察した。結石関連蛋白(OPN、バイクニン、ヘパラン硫酸、カルプロテクチン、フィブロネクチン、MCP-1など)の発現を、in situ hybridization(ISH)、免疫染色で経日的に観察した。DNAマイクロアレイにて結石形成時の遺伝子発現の変化を調べた。結石患者に特異的なSNPs があるOPN蛋白の機能解析健常者のOPNcDNA遺伝子と、結石患者に特異的なexon7にSNPsをもつOPNcDNA遺伝子を作成し、タンパク質発現ベクターに組み込み、大腸菌にtransformationし変異の有無による2種類のOPN蛋白を生成した。それらを腎尿細管培養細胞に添加し、14Cラベル蓚酸カルシウム結晶(0.5μg/ml)と尿細管細胞との接着能を検討した。また、腎尿細管細胞を3次元培養すると8週間で結石が形成される実験モデルを用い、生成したOPN蛋白を添加しOPNのSNPsによる結石形成への機能を検討した。さらに、SNPsをもつOPNcDNAを発現ベクターに組み込み、腎尿細管細胞にstable transfectionして発現蛋白が蛍光ラベルされるように樹立し、遺伝子導入したSNPsをもつOPN蛋白の細胞内局在を免疫染色、共焦点レーザー顕微鏡を用いて三次元的に観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私たちは、尿路結石はメタボリックシンドロームの発症機序と似ていることを報告してきた。そこで本研究ではそれらの研究を推し進め、尿路結石症予防法の確立をめざし遺伝因子と環境因子の両面から基礎的な横断的研究を行う。特にメタボリックシンドロームに関与するアディポサイトカインとストレス感受性シグナルの結石形成における役割を解明することが結石形成機序の解明と予防の手掛かりになると考えられ、これらの観点を中心に研究を行う。これらの研究は尿路結石症予防の新たな道を拓くものと考えられる。従来までの結石形成モデル動物はラットのみであったが、結石形成モデルマウスの確立に成功した。このことから遺伝子組み換えマウスと比較することが可能となり、飛躍的に研究が進んだ。さらにin vitroの結石形成モデルとしてagaroseゲルを使用した三次元培養系で、細胞を用いた結石形成に成功した。これらの研究成果を踏まえ私たちは、「尿路結石症予防法の確立に向けた遺伝因子・環境因子両面からの横断的研究」を行う着想に到った。
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Strategy for Future Research Activity |
尿路結石形成においてOPNと相互作用する物質の同定とその機能解析結石形成時に、OPNの有無により発現に変化がみられた遺伝子について、結石形成モデルマウスを用い、腎での発現様式をISH、免疫染色、定量RT-PCRで経日的に検討する。0PNノックアウトマウスで過剰発現していた遺伝子を腎結石抑制因子と考え、その発現をアンチセンス遺伝子およびRNA interference (RNAi)を用いてブロックすることでOPNとの相互作用の解明を行う。結石患者に特異的なSNPs があるOPN蛋白の機能解析樹立したSNPsをもつOPN発現尿細管細胞を用い、蓚酸カルシウム結晶の細胞接着および蓚酸による細胞傷害を調べる。培養細胞に0.5mM 14Cラベル蓚酸カルシウム結晶を添加し、60分暴露後洗浄し、結晶の付着がSNPsにより変化するか検討する。蓚酸(0.5~2mM)に暴露させ、蓚酸障害をLDH、MTT assay、O2-の測定、アポトーシスIndex等にて検討する。遺伝子組み換えOPN蛋白を用い、Seed Crystal法を用いて蓚酸カルシウム結晶の形成作用がSNPsによって異なるか検討する。また、遺伝子組み換えOPN蛋白を培養細胞に添加し、OPNのレセプターと考えられるαvβ3の発現と細胞内シグナル伝達をWestern blotting等で調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
メタボリックシンドローム関連蛋白の尿路結石形成への関与の検討PPARγアゴニスト(thiazolidinedione(TZD))4mg/dayを結石モデルラットに腹腔内投与し、結石形成抑制効果、アディポサイトカインの発現を検討する。結石形成3次元培養細胞モデルに、TZDを添加(0.5-100μg/ml)し、結石形成抑制効果について検討する。動脈硬化症の抑制に働いていることが報告されているアディポネクチン、レプチンが結石形成に関与していることを確認した上で、結石形成モデルマウスに腹腔内投与し、アディポサイトカインの結石形成への関与を調べる。
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[Presentation] Efficacy of a selective alpha 1A adrenoceptor antagonist as a medical expulsive therapy against ureteral stones.2011
Author(s)
Yasunori Itoh, Atsushi Okada, Takahiro Yasui, Yasufumi Fujii, Yasuhiko Hirose, Masayuki Usami, Shuzo Hamamoto, Masahito Hirose, Keiji Fujita, Keiichi Tozawa, and Kenjiro Kohri.
Organizer
2011 eULIS
Place of Presentation
London
Year and Date
2011 – 98