2012 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部扁平上皮癌およびLSIL・HSIL・ASCの核クロマチン分布の定量的解析
Project/Area Number |
23592454
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加来 恒壽 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60185717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大喜 雅文 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10160441)
小林 裕明 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70260700)
杉島 節夫 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50380382)
田宮 貞史 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60284486)
渡邊 壽美子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90404087)
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Keywords | 細胞診断学 / 子宮頸癌 / 子宮頸部異形成 / 核クロマチン / ベセスダ・システム |
Research Abstract |
子宮頸部扁平上皮癌およびLSIL, HSIL, ASCを対象として引き続き細胞学的所見の検討と、計量的研究を行い2次元の核クロマチン分布のパターンの検討を行った。開発したオープンソースとして利用できる核クロマチン分布を定量化する画像解析プログラムをさらに充実・強化した。核中心から核辺縁へ向かうピクセル値分布を層状に計測し、ピクセル値分布の傾き(傾き値radial distribution (RD) value)を計算しRD自体が客観的評価法として有用であることを明らかとした。このRD値を子宮頸部扁平上皮癌およびLSIL, HSIL, ASCなどの症例を対象に解析し、HSIL特に上皮内癌のRD値が最大であり、LSIL, HSIL、子宮頸部扁平上皮癌の平均RD値は統計学的に有意差が認められた。また子宮頸部扁平上皮癌のみならず子宮頸部腺癌でも画像解析でRD値、核面積、核中心点間距離、核小体数などを解析し有用なパラメータであることが明らかになった。膀胱癌でも診断的価値があり、その膀胱癌に対する化学療法の効果をみるパラメータとしてもRD自体が有用であり、培養細胞を用いた検討で増殖能およびcell cycle 関連蛋白であるp21, p27, pKi67の発現との関連もみられた。膀胱注入療法に伴う核クロマチン分布の経時的変化-RD療法とPMC分類の比較を行い、第53回日本臨床細胞学会総会春期大会でその成果を発表した。子宮頸部腺癌でもRD値が有用である結果が得られている。子宮内膜癌における癌周囲の化生の出現について臨床細胞学的および臨床病理学的研究を行い、約80%の症例で化生が出現しており、これらの成果は英文誌に受理され、子宮内膜癌および化生を対象に画像解析でRD値、核面積、核中心点間距離、核小体数など計測の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核クロマチン分布を定量化する画像解析プログラムをさらに充実・強化した。核中心から核辺縁へ向かうピクセル値分布を層状に計測し、核クロマチン分布を定量化し、ピクセル値分布の傾き(傾き値radial distribution (RD) value)を計算するプログラムの開発ができ、その成果を紙上(Acta Cytologica)に既に発表した。 平成24年度に計画していた子宮頸部扁平上皮癌およびLSIL, HSIL, ASCなどの症例について計量的研究を行い、2次元の核クロマチン分布の検討を行った。この核クロマチン分布を定量化するRD値を子宮頸部扁平上皮癌およびLSIL, HSIL, ASCなどの症例を対象に解析し、LSIL, HSIL、子宮頸部扁平上皮癌の平均RD値は統計学的に有意差が認められた。また子宮頸部腺癌でもRD値、核面積、核中心点間距離、核小体数など解析し、RD値、核面積が有用な悪性度のパラメータであることが明らかになった。 膀胱癌でも診断的価値があり、その膀胱癌に対する化学療法の効果をみるパラメータとしてもRD自体が有用であり、培養細胞を用いた検討で増殖能およびcell cycle 関連蛋白であるp21, p27, pKi67の発現との関連もみられ第53回日本臨床細胞学会総会春期大会でその成果を発表した。 共焦点レーザー顕微鏡を用いて、子宮頸癌由来の培養細胞のクロマチンの3次元構造の解析が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した核クロマチン分布を定量化する画像解析プログラムをさらに充実・強化して用いて、子宮頸部扁平上皮癌およびLSIL, HSIL, ASCなどの症例のRD値測定、核面積、核中心点間距離、核小体数など画像解析をさらに進める。またPI(Propidium Iodide)染色を施行し、蛍光顕微鏡およびレーザー顕微鏡を用いてデジタル画像および核DNA量を測定する。子宮頸部腺癌でもRD値、核面積、核中心点間距離、核小体数など画像解析、増殖能およびcell cycle 関連蛋白であるp21, p27, pKi67の発現の対象症例数を増やし分析する。子宮内膜癌、膀胱癌でもRD値測定、核面積、核中心点間距離、核小体数など画像解析を行う。 共焦点レーザー顕微鏡を用いて、子宮頸癌由来の培養細胞のクロマチンの3次元構造の解析にも取り組み、子宮頸部扁平系細胞由来の培養細胞チャンバースライドで生きた状態(live cell)の培養細胞にGreen Fluorescent protein (GFP) を導入・発現させcell cycleに関する蛋白pKi67や核小体蛋白fibrillarin等の各種機能性タンパクの動態を共焦点レーザー顕微鏡を使用して3次元的解析を行う。 研究データ(臨床的事項を含め)の統計学的解析を行い、その成果を関連学会および英文を含めた学会誌に発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①物品費(40万円) 薬品・試薬、および実験器具、論文別刷 ②旅費(40万円) 研究成果発表のための旅費として使用する ③人件費(10万円) 研究を効率的に進めていくために使用する
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Research Products
(9 results)