子宮体部明細胞腺癌における新たな発癌プロセスと創薬

2013 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 23592466
• Research Institution: Tokai University
• Principal Investigator: 平澤 猛 東海大学, 医学部, 講師 (70307289)
• Keywords: Type II 体癌 / 子宮体癌 / mTOR / HIF-1 / 明細胞腺癌

Research Abstract

目的：これまでに我々は卵巣明細胞腺癌でmTOR-HIF pathwayが特異的に亢進しており、この系の活性化が予後不良の一因であることを報告してきている。さらにmTOR阻害剤はこの系の活性化を抑制するばかりでなく様々な側面から抗腫瘍効果を有しており、明細胞腺癌治療への応用が期待されている。そこで、本研究ではType Iに比して予後不良であるType II体癌に主眼をおき、mTOR-HIF 関連因子の動態について検討したので報告する。
材料・方法：当科においてインフォームドコンセントの得られた子宮体癌48例(類内膜腺癌(TEMA)：21例、漿液性腺癌(TSEA)：17例、明細胞腺癌(TCCA)：10例を用いてmTOR-HIF 関連因子について免疫組織化学を施行し、臨床病理学的解析を行った。
結果：TypeII体癌の全例で種々の程度のphospho-mTOR(p-mTOR)、HIF-1α、HDAC7の発現を認めた。とりわけ明細胞腺癌で高い傾向を認めたが有意な差は認められなかった。HDAC7の発現はheterogeneityな染色態度を示し、TSEA,TCCAともに細胞質に発現を認めたが、TCCAの1例では唯一、核・細胞質の両者に発現を認めた。
考察：今回の検討から、TypeII体癌においては組織型の差に関わらず全例でmTOR-HIF pathwayの亢進が認められたことから、mTORの活性化がType II体癌の予後不良因子の一因であることが考えられた。また、HIF-1αが細胞質・核陽性でHDAC7強陽性症例は予後不良であったことから、予後因子としての可能性について、さらにはType Iとの比較についても今後引き続き検討を行っていく。

Research Products

• [Journal Article] Predicting perioperative venous thromboembolism in Japanese gynecological patients. (2014)
  • Author(s): Ikeda M, Kan-no H, Hayashi M, Tsukada H, Shida M, Hirasawa T, Muramatsu T, Ogushi Y, Mikami M.
  • Journal Title: PLoS One. Volume: 26 Pages: in press
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0089206.
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Alterations of hypoxia-induced factor signaling pathway due to mammalian target of rapamycin (mTOR) suppression in ovarian clear cell adenocarcinoma: in vivo and in vitro explorations for clinical trial. (2013)
  • Author(s): Hirasawa T, Miyazawa M, Yasuda M, Shida M, Ikeda M, Kajiwara H, Matsui N, Fujita M, Muramatsu T, Mikami M.
  • Journal Title: Int J Gynecol Cancer. Volume: 23 Pages: 1210-8
  • DOI: 10.1097/IGC.0b013e31829d2d51.
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Case of metastatic uterine cervical squamous cell carcinoma in the right atrium. (2013)
  • Author(s): Togo A, Muramatsu T, Tsukada H, Ikeda M, Shida M, Hirasawa T, Maeda H, Mikami M.
  • Journal Title: Tokai J Exp Clin Med. Volume: 38 Pages: 42-5
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] 【プロメテウス 婦人科がん最新医療】 増殖因子受容体・シグナル伝達阻害薬 (2013)
  • Author(s): 平澤 猛
  • Journal Title: 産婦人科の実際 Volume: 62 Pages: 2047-2053
• [Journal Article] 【プロメテウス 婦人科がん最新医療】 卵巣がんの手術療法 Staging laparotomy (2013)
  • Author(s): 村松 俊成, 杉山 太朗, 池田 仁惠, 信田 政子, 前田 大伸, 平澤 猛, 三上 幹男
  • Journal Title: 産婦人科の実際 Volume: 62 Pages: 1891-1896
• [Journal Article] 絨毛性疾患取扱い規約第3版改訂のポイントと新しい症例登録様式について (2013)
  • Author(s): 佐々木 康, 近藤 春裕, 雨宮 清, 新井 努, 木挽 貢慈, 小山 秀樹, 茂田 博行, 杉浦 賢, 土居 大祐, 仲沢 経夫, 林 玲子, 林 康子, 平澤 猛, 宮城 悦子, 横山 和彦, 田島 敏久, 加藤 久盛, 高橋 恒男, 平原 史樹, 東條 龍太郎
  • Journal Title: 神奈川産科婦人科学会誌 Volume: 50 Pages: 163-166
• [Journal Article] 【子宮頸癌治療の変遷と今後の展開】 子宮頸癌手術におけるリンパ節郭清の意義 (2013)
  • Author(s): 三上 幹男, 池田 仁惠, 信田 政子, 平澤 猛, 村松 俊成
  • Journal Title: 産科と婦人科 Volume: 80 Pages: 1306-1311
• [Journal Article] 【婦人科がん手術の基本手技を学ぶ】 傍大動脈リンパ節郭清術 転移リンパ節摘出と合併症予防 (2013)
  • Author(s): 三上 幹男, 池田 仁惠, 信田 政子, 平澤 猛, 村松 俊成
  • Journal Title: 産婦人科手術 Volume: 24 Pages: 63-68
• [Presentation] 卵巣癌に併発したTrousseau症候群の一例 (2013)
  • Author(s): 中島理恵, 池田仁惠, 楢山知明, 平野結希, 林 優, 後藤優美子, 信田政子, 平澤 猛, 石本人士, 和泉俊一郎, 三上幹男
  • Organizer: 第404回神奈川産科婦人科学会学術講演
  • Place of Presentation: 情文ホール（横浜情報文化センター6F）
  • Year and Date: 20131126-20131126
• [Presentation] リンパ節転移巣の自然消失が疑われた子宮体部漿液性腺癌の1例 (2013)
  • Author(s): 梶原 博, 平林 健一, 井野元 智恵, 菅野 秀俊, 信田 政子, 平澤 猛, 三上 幹男, 中村 直哉
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] 婦人科腫瘍におけるThymidine phosphorylaseの治療マーカーとしての可能性 (2013)
  • Author(s): 信田 政子, 宮澤 麻里子, 宮澤 昌樹, 矢坂 美和, 楢山 知明, 楢山 知紗, 菅野 秀俊, 井浦 文香, 田島 敏樹, 塚田 ひとみ, 池田 仁恵, 平澤 猛, 梶原 博, 村松 俊成, 中村 直哉, 安田 政実, 三上 幹男
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] 卵巣漿液性境界悪性腫瘍28例の臨床病理学的検討 (2013)
  • Author(s): 加藤 智美, 安田 政実, 鈴木 裕之, 長谷川 幸清, 藤原 恵一, 宮澤 昌樹, 梶原 博, 平澤 猛, 大金 直樹, 亀田 陽一, 加藤 久盛
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] SIADHを伴った子宮頸部小細胞癌の1例 (2013)
  • Author(s): 矢坂 美和, 平澤 猛, 楢山 知明, 楢山 知紗, 菅野 秀俊, 田島 敏樹, 塚田 ひとみ, 池田 仁恵, 信田 政子, 梶原 博, 村松 俊成, 中村 直哉, 三上 幹男
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] 子宮頸部小細胞癌15例の臨床病理学的検討 (2013)
  • Author(s): 楢山 知明, 信田 政子, 楢山 知紗, 矢坂 美和, 菅野 秀俊, 田島 敏樹, 塚田 ひとみ, 池田 仁恵, 梶原 博, 平澤 猛, 村松 俊成, 中村 直哉, 三上 幹男
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] 神奈川3大学における高齢婦人科がんに対する治療法の検討 (2013)
  • Author(s): 近藤 亜未, 大原 樹, 吉岡 範人, 戸澤 晃子, 鈴木 直, 小野 重満, 新井 努, 新井 正秀, 恩田 貴志, 池田 仁恵, 信田 政子, 平澤 猛, 三上 幹男
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] TypeII子宮体癌の予後不良因子にmTOR-HIF-HDAC7 pathwayが関与している (2013)
  • Author(s): 平澤 猛, 宮澤 昌樹, 宮澤 麻里子, 楢山 知紗, 矢坂 美和, 楢山 知明, 菅野 秀俊, 田島 敏樹, 井浦 文香, 塚田 ひとみ, 池田 仁恵, 信田 政子, 村松 俊成, 安田 政実, 三上 幹男
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] 卵巣明細胞腺癌の予後改善を目指して 上皮性卵巣癌におけるHIF-1の転写活性とHDAC7発現の意義 (2013)
  • Author(s): 宮澤 昌樹, 平澤 猛, 宮澤 麻里子, 安田 政実, 加藤 智美, 梶原 博, 信田 政子, 池田 仁惠, 松井 成 明, 村松 俊成, 三上 幹男
  • Organizer: 第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • Place of Presentation: グランパシフィック LE DAIBA
  • Year and Date: 20130719-20130721
• [Presentation] 腟転移を来した再発子宮体癌の2例 (2013)
  • Author(s): 楢山知紗, 矢坂美和, 林 伊緒, 林 優, 後藤優美子, 田島敏樹, 池田仁惠, 信田政子, 平澤 猛, 石本人士, 和泉俊一郎, 三上幹男
  • Organizer: 第402回神奈川産科婦人科学会学術講演
  • Place of Presentation: 神奈川県総合医療会館 講堂
  • Year and Date: 20130706-20130706
• [Presentation] 当院における子宮頸部小細胞癌15例の臨床的検討 (2013)
  • Author(s): 楢山 知明, 信田 政子, 楢山 知紗, 矢坂 美和, 菅野 秀俊, 井浦 文香, 田島 敏樹, 池田 仁恵, 平澤 猛, 石本 人士, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
  • Organizer: 第125回関東連合産科婦人科学会総会
  • Place of Presentation: 都市センターホテル
  • Year and Date: 20130615-20130616
• [Presentation] 胎児共存奇胎を先行妊娠とする臨床的絨毛癌治療後に生児を得た1例 (2013)
  • Author(s): 天津 慎子, 平野 結希, 簡野 康平, 佐藤 茂, 三塚 加奈子, 東郷 敦子, 西村 修, 平澤 猛, 石本 人士, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
  • Organizer: 第125回関東連合産科婦人科学会総会
  • Place of Presentation: 都市センターホテル
  • Year and Date: 20130615-20130616
• [Presentation] 術中迅速診断 細胞診の併用 婦人科腫瘍の術中迅速における細胞診併用 卵巣腫瘍における捺印細胞診の有用性 (2013)
  • Author(s): 梶原 博, 井野元 智恵, 松井 成明, 加戸 伸明, 宮嶋 葉子, 平澤 猛, 伊藤 仁, 三上 幹男, 佐藤 慎吉, 中村 直哉
  • Organizer: 第54回日本臨床細胞学会総会
  • Place of Presentation: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
  • Year and Date: 20130531-20130602
• [Presentation] TypeII 体癌の予後不良因子は mTOR-HIF-HDAC7 pathway である可能性 (2013)
  • Author(s): 平澤 猛, 平野 結希, 菅野 秀俊, 田島 敏樹, 塚田 ひとみ, 池田 仁惠, 信田 政子, 村松 俊成, 石本 人士, 和泉 俊一郎
  • Organizer: 第65回日本産科婦人科学会学術講演会
  • Place of Presentation: ロイトン札幌、ホテルさっぽろ芸文館（旧北海道厚生年金会館）、札幌プリンスホテル、札幌市教育文化会館
  • Year and Date: 20130510-20130512
• [Presentation] 当院における子宮平滑筋肉腫 37 例の臨床的検討 (2013)
  • Author(s): 菅野 秀俊, 信田 政子, 平野 結希, 林 伊緒, 井浦 文香, 田島 敏樹, 池田 仁惠, 平澤 猛, 村松 俊成, 石本 人士
  • Organizer: 第65回日本産科婦人科学会学術講演会
  • Place of Presentation: ロイトン札幌、ホテルさっぽろ芸文館（旧北海道厚生年金会館）、札幌プリンスホテル、札幌市教育文化会館
  • Year and Date: 20130510-20130512
• [Presentation] わが学園における子宮頸癌予防啓発活動（以下，頸癌啓発）の有効性について―出身校別女子大学生の意識調査を解析― (2013)
  • Author(s): 村松 俊成, 佐柄 祐介, 成田 篤哉, 石井 博樹, 西島 義博, 杉山 太朗, 東郷 敦子, 池田 仁惠, 信田 政子, 前田 大伸, 平澤 猛, 三上 幹男
  • Organizer: 第65回日本産科婦人科学会学術講演会
  • Place of Presentation: ロイトン札幌、ホテルさっぽろ芸文館（旧北海道厚生年金会館）、札幌プリンスホテル、札幌市教育文化会館
  • Year and Date: 20130510-20130512
• [Presentation] 子宮頸癌根治術における骨盤リンパ節摘出個数の意義 (2013)
  • Author(s): 田島 敏樹, 平野 結希, 林 伊緒, 菅野 秀俊, 井浦 文香, 池田 仁惠, 信田 政子, 平澤 猛, 村松 俊成, 石本 人士
  • Organizer: 第65回日本産科婦人科学会学術講演会
  • Place of Presentation: ロイトン札幌、ホテルさっぽろ芸文館（旧北海道厚生年金会館）、札幌プリンスホテル、札幌市教育文化会館
  • Year and Date: 20130510-20130512
• [Presentation] 当院における子宮頸部腺癌 III 期手術症例の検討―扁平上皮癌との違いは？術後 補助療法は？― (2013)
  • Author(s): 池田 仁惠, 菅野 秀俊, 平野 結希, 林 伊緒, 田島 敏樹, 井浦 文香, 信田 政子, 平澤 猛, 村松 俊成, 石本 人士
  • Organizer: 第65回日本産科婦人科学会学術講演会
  • Place of Presentation: ロイトン札幌、ホテルさっぽろ芸文館（旧北海道厚生年金会館）、札幌プリンスホテル、札幌市教育文化会館
  • Year and Date: 20130510-20130512