2013 Fiscal Year Annual Research Report
マトリックスプロテアーゼHtrA1によるケロイド組織の浸潤メカニズム
Project/Area Number |
23592646
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 素子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30378723)
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Keywords | ケロイド / マトリックス / HtrA1 |
Research Abstract |
前年度よりN数を増やし、ケロイド組織6例、正常皮膚4例よりRIPA bufferを用いて蛋白抽出を行い、HtrA1とFibronectinに対するWestern blotを実施した。ケロイド組織6例はいずれの組織でも、正常皮膚4例と比較して、HtrA1の発現量が高かった。また、Fibronectinの発現も、ケロイド組織6例では、正常皮膚4例と比較して非常に高く発現し、またfragmentationを確認した。ケロイド組織由来線維芽細胞に対して、Stealth RNAiを用いてHtrA1のノックダウンを行った。HtrA1ノックダウン細胞と、コントロール細胞(HtrA1のノックダウンを行っていない細胞)とで、WSTアッセイを用いて増殖を比較したところ、HtrA1ノックダウン細胞では、コントロール細胞と比較して増殖が抑制されることを発見した。この現象について、異なる2症例由来の細胞でも同様の結果を確認した。次に、この増殖に対するHtrA1の作用が、HtrA1の基質としても知られるマトリックスであるFibronectin, type I collagenの存在によって増強されるかどうかを検討した。Fibronectin, type I collagen,がコートされた96穴プレートと、マトリックスコートのない培養用96穴プレート、コントロールとしてLaminin (HtrA1の基質ではない)がコートされた96穴プレート、それぞれにHtrA1ノックダウン細胞と、コントロール細胞を播種し、増殖をWSTアッセイにて比較した。その結果、Fibronectin, type I collagenがコートされた場合のほうが、ノンコートやLamininコートと比較して、細胞増殖におけるHtrA1の作用が増強されることがわかった。以上の結果より、HtrA1は、ケロイドにおける細胞増殖を助長し、その作用は細胞外マトリックスを介して生じる可能性が示唆された。
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