2012 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来幹細胞の有する創傷治癒促進と瘢痕減弱効果の機序解析
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23592655
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
水野 博司 順天堂大学, 医学部, 教授 (80343606)
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Keywords | 再生医学 / 幹細胞 / 創傷治癒 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究の目的は、創傷治癒過程において脂肪組織幹細胞(Adipose-derived Stem Cells、以下ASCs)を局所投与することで創傷治癒が促進し、かつ瘢痕形成がどのような機序で減弱するのかに関し、慢性創傷モデル動物を用いて検証することである。昨年度の研究成果において、ストレプトゾトシン誘発糖尿病Fisher344ラット(10週齢、雄)に作成された皮膚潰瘍に対し、細胞数の異なるASCs(グループI:ASCs 1x105/1ccPBS、グループII:ASCs 1x106/1ccPBS、グループIII:ASCs 1x107/1ccPBS、グループIV:1ccPBSのみ)を局所投与した結果、ASCs投与群においてコントロール群と比較していずれも創傷治癒が促進された。しかしながら投与した細胞数と創傷治癒速度との間には明らかな有意差は認められなかった。またこれらのHE染色標本を用いた組織学的検索においても、ASCs投与群において肉芽組織の増生と新生毛細血管の増加が認められていた。 これらの結果をもとに本年度は、①CD31免疫染色による血管密度の測定と、②Terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP nick-end labelling (TUNEL)染色と抗α-SMAによる、筋線維芽細胞とアポトーシス細胞の二重染色を実施した。その結果、①抗CD31抗体陽性細胞はグループIVに比べてグループI~IIIにおいて有意に陽性細胞数が多かったものの、グループI~IIIの間では明らかな有意差を認めなかった。②各グループにおいてTUNEL+/α-SMA+細胞が真皮内に散見されたが、グループI~IIIにおいてその数はグループIVより多く、主に投与後7日目~14日目にかけて出現し、比較的早い段階で筋線維芽細胞のアポトーシスが誘導されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASCs投与群において創傷治癒促進、毛細血管新生数の増加があることが分かっただけでなく、TUNEL陽性かつα-SMA陽性、つまり筋線維芽細胞のアポトーシスがASCs投与群において誘導されることが分かった。今後はそれぞれのグループ間における定量的な解析すると同時に、線維芽細胞のアポトーシスを確認すべく、TUNEL染色とvimentin染色の二重染色を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究に引き続き、得られた組織標本を用い、毛細血管数の定量、伸展表皮の様式、組織中に発現する各種増殖因子の検討、線維芽細胞のアポトーシス誘導に関する検討を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23,24年度同様、研究費の大半は各種試薬購入費などの消耗品代に充てる予定である。成果発表のための出張費を一部計上した。
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Research Products
(7 results)