2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化物質の弱点を克服した新たな心筋虚血再灌流障害阻止法の構築
Project/Area Number |
23592672
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
高橋 尚彦 大分大学, 医学部, 教授 (30263239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手嶋 泰之 大分大学, 医学部, 助教 (10457608)
萩原 聡 大分大学, 医学部, 講師 (50527661)
犀川 哲典 大分大学, 医学部, 教授 (60145365)
野口 隆之 大分大学, 医学部, 教授 (90156183)
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Keywords | 心房細動 / メタボリック症候群 |
Research Abstract |
【背景および目的】 心房細動は,心原性脳塞栓症をきたす不整脈疾患であり,罹患人口は年々増加している。本邦からの疫学調査で,メタボリック症候群における心房細動発症率はそうでない場合に比し明らかに高いことが報告された(Circulation. 2010 Aug 17;122(7):e433.)。我々は,メタボリック症候群や肥満患者に高レプチン血症,レプチン抵抗性が多く認められることに着目し,「アンジオテンシンII(AngII)によって惹起される心房線維化および心房細動受攻性亢進にレプチンシグナルが関与しているのではないか」との仮説を立てこれを検証した。【方法】レプチン欠損ob/ob(Ob)マウスおよびコントロール(CNT)マウスの皮下に浸透圧ミニポンプを植込み,AngIIの持続皮下投与を4週間行った。4週間後に心臓を取り出し,Masson trichrome染色で線維化を定量し,左房組織中の炎症性線維化シグナルに関わるタンパクならびにレプチンの局所発現を観察した。また,摘出心をランゲンドルフ装置で灌流し,心房の不応期,心房間伝導速度,右房からの期外刺激による心房細動誘発率を検討した。またレプチン受容体変異ラット(Zuckerラット)の左房から得た線維芽細胞に対するレプチンおよびAngIIの効果も検討した。【結果】1)CNTマウスではAngIIによって左房のレプチン発現が亢進した。2)経食道ペーシングでObマウスの心房細動誘発率はCNTに比し低かった(P<0.01)。3)CNTマウスに見られた炎症性線維化シグナル関連タンパクの発現亢進はObマウスで抑制された。4)心房線維芽細胞にAngIIを添加するとレプチンの発現が亢進した。CNTラットではレプチン添加によって炎症性線維化シグナル発現が亢進したが,これらの所見はZuckerラットでは認められなかった。【結語】AngIIによって惹起される心房線維化および心房細動受攻性亢進にレプチンシグナルが必須であることが判明した。
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