2011 Fiscal Year Research-status Report
CCNファミリー間のネットワーク形成による筋肉内異所性骨化の分子機構の解明
Project/Area Number |
23592732
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西田 崇 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30322233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 正春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20112063)
久保田 聡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90221936)
服部 高子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00228488)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10432650)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 筋肉内異所性骨化 / CCN2/結合組織成長因子 / 炎症性シグナル / C2C12細胞 / BMP2 / 骨格筋分化 / CCNファミリー |
Research Abstract |
多核の筋管細胞は増殖能を持っていないため、骨格筋に生じた障害は筋管細胞周囲のサテライト細胞が筋芽細胞に分化・融合して修復される。多くの成長因子群が複雑なネットワークを形成して筋芽細胞分化に関わっていると考えられ、このネットワークの破綻が筋肉内に異所性の骨化などを引き起こす原因となる。病的異所性骨化にはBMP2が深く関与し、その多くは炎症が引き金となって発症する事が多いが、これまで炎症による骨吸収促進の報告はあるものの、逆に炎症によって骨形成が惹起されるメカニズムは不明である。我々はCCN2/結合組織成長因子が炎症によって制御される点やBMP2と結合し、BMP2の作用を修飾する点からCCN2が炎症性の骨形成に関与すると考えた。平成23年度では筋芽細胞における炎症性シグナルとCCN2との関係、BMP2の作用とCCN2との関係に焦点を当てて解析した。1. 炎症性シグナルであるTNFαでマウス筋芽細胞株C2C12を刺激すると、濃度依存的にCCN2遺伝子の発現レベルの亢進とCCN2産生の増加が認められた。2. 筋管細胞へ分化誘導したC2C12細胞に組換えCCN2タンパク質を添加すると、対照群と比べて筋管形成の抑制と細胞増殖の促進が見られた。3. CCN2欠損マウスの筋組織では細胞増殖の指標である核内増殖抗原(PCNA)陽性細胞数が野生型に比べ減少した。4. BMP2によるRunx2遺伝子の発現レベルは、CCN2添加でさらに上昇した。5. BMP2刺激によるアルカリホスファターゼ染色及び活性はCCN2添加でさらに上昇した。 CCN2は筋芽細胞において炎症性シグナルによって発現上昇し、筋芽細胞の増殖促進と分化抑制に作用した。また、BMP2刺激によって促進された筋芽細胞から骨芽細胞への異所性分化をさらに増強することで、炎症による骨形成の促進に関わっている事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究目的は炎症性シグナルであるTNF-αが筋分化にどのような影響を与え、その影響にCCN2がどのように関わっているか、さらに筋肉内異所性骨化を引き起こすBMP2がCCN2と共存することでどのような相互作用が生じるのかを解析することであり、in vitroでの筋分化あるいは筋肉内異所性骨化におけるTNF-αとCCN2、BMP2とCCN2との関係をC2C12細胞を用いて明らかにしたことから、平成23年度の研究目的はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は主にin vitroの解析を中心に行ってきており、この研究結果を踏まえて、今後は動物実験を中心としたCCN2の異所性骨化における役割を解析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では筋肉内異所性骨化のin vitroモデルの確立ということで、CCN2、CCN3及びBMP2を過剰発現させたC2C12細胞を作製する予定であったが、CCN2及びCCN3の発現ベクターは構築できたものの、BMP2発現ベクターの構築に手間取り、遺伝子導入実験が平成23年度は十分に行えなかった。それ故に当初予定していた遺伝子導入試薬の購入費用である当該研究費が生じた。そこで、翌年度以降は早急にin vitroにおける遺伝子導入実験を行い、その結果を踏まえて翌年度以降に請求する研究費を用いて動物実験を遂行する予定である。
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Research Products
(32 results)