2011 Fiscal Year Research-status Report
TLRアゴニストによる免疫および慢性炎症の制御機構解明ーイメージング手法を用いて
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23592747
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鈴木 恵子 昭和大学, 歯学部, 講師 (50119187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 庄司 昭和大学, 歯学部, 教授 (00111617)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 炎症性骨破壊 / Toll-like receptor / グラム陽性菌 / イメージング / 骨吸収治療薬 |
Research Abstract |
重篤な骨破壊を起こすことが知られている関節リウマチ,歯周病,骨転移腫瘍では歩行困難、歯の喪失、骨痛などが生じ,患者のQOLは著しく損なわれる。そのため、超高齢社会である我が国においては、有効な治療薬開発が急務とされている。今年度は「感染に対する宿主の防衛反応である炎症により過剰な組織破壊がひき起こされるメカニズム」に着目し、Toll-like receptor (TLR)の関与について調べ、以下の成果が得られた。1.マウス頭蓋骨骨膜下にTLR2アゴニストであるPam3CSK4を投与したところ、全身的な炎症反応が確認された。さらに、このマウスをin vivo X-ray micro-CTにて経時的に観察したところ、1週間後に骨吸収像が認められ、TLR4のみならずTLR2によっても炎症性骨破壊が起こることが示された。2.炎症性骨破壊モデルマウスから採取した、頭蓋骨、炎症皮膚、胸腺、脾臓および骨髄から得られたTotal RNAを用いて定量的RT-PCRを行った結果、炎症性サイトカイン(TNFalpha, IL-1beta, IL-6)、ケモカイン(MCP-1, MIP-1alpha)の発現上昇が確認された。さらに、TLR2またはTLR4遺伝子欠損マウスではPam3CSK4またはLPS投与による骨破壊および遺伝子発現上昇が全く観察されなかったことから、それぞれTLR2またはTLR4依存的におこる現象であることが示された。3.ラット口蓋骨骨膜下にPam3CSK4またはグラム陽性菌であるS mutans を投与後、in vivo X-ray micro-CTにより経時的に観察したところ、9ないし10日後に口蓋骨骨吸収像が観察された。さらに、テトラサイクリンでラベルした口蓋骨の研磨切片でも吸収像が確認され、パラフィン包埋薄切切片にて破骨細胞のマーカーであるTRAP陽性細胞が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、炎症性骨破壊にはTLR4だけでなくTLR2も関与しているという仮説に基づき実験を進めた。今年度、得られた成果により、当初の仮説に矛盾することなく次のステップへと実験を進めることができる。さらに、新たに考案したラット口蓋骨骨膜下投与モデルの有用性が示されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた結果に基づき、Toll-like receptor (TLR) を介して起こる炎症反応および、それが引き金となり起こる組織破壊への移行のメカニズムについて詳細に検討する。現在、研究室で所有している遺伝子欠損マウス(TNFalpha-, IL-1beta-, IL-6-, TLR-1, TLR4-, TLR2/TLR4-knockout) を用いて、どの段階で炎症反応を鎮めて免疫反応に移行するのか、さらに、これらの一連の現象を制御している分子は何かについて検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は国際学会の日程が研究代表者の教育(学生実習)日程と重なったため、旅費が未使用である。次年度は骨代謝治療薬についての国際ワークショップに参加して成果を発表する予定である。今年度、物品費で購入した「試料・細胞破砕装置」は、骨(マウス頭蓋骨)および皮膚など固い組織からTotal RNAを採取する際に有効に使用することができた。次年度は今までに蓄積された試料について、いくつかの手法を用いて解析する。物品費はReal-time RT-PCR, FACS解析に必要な試薬類を中心に使用する。さらに、その他の項目で論文作成費用を出したい。
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Research Products
(2 results)