2012 Fiscal Year Research-status Report
in vivo EPR Dosimetryの生体への応用
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23592769
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
三宅 実 香川大学, 医学部, 准教授 (20239370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 義郎 香川大学, 医学部, 教授 (10181687)
岩崎 昭憲 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10437676)
山口 一郎 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (50311395)
欅田 尚樹 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 部長 (90178020)
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Keywords | EPR / Dosiemtry / 被ばく線量測定 / 歯エナメル質 |
Research Abstract |
1.新規の口腔前歯用の共振器を開発した。従来のループ型共振器では、ループ内径9.37mmワイヤー径:1.65mmであったが、新規の共振器では、ループ内径3.91mmでワイヤー径1.96mmである。ループを小さくすることで、1)検出感度の向上、2)ヒト上顎中切歯歯冠唇側歯面での計測に特化した形状にすることができた。これにより相対感度として1.86倍の感度向上が図れた。 2.米国ダートマス大学EPRセンターと共同で、前歯部用の装置の改良をさらに加えた。被験者は、座位で快適に計測が可能となった。 3.EPR Spectroscopy座位での計測状況の分析を行った。座位での計測では、特にノイズを軽減できることを確認した。1回計測での標準物質(PDT)の信号とノイズとの比較では、従来の横臥位での計測におけるS/N比が1.21±0.093であったのに対し、座位では2.03±0.044であった。 4.平成24年度で上述の改良を加えたEPR計測装置を用い、ヒトからの計測を実施した。35 名(男性 15名,女性 18名,平均年齢25歳)のボランティアに協力を依頼し、上顎中切歯より、計測を行った。EPR信号強度は0.04011±0.00716 a.u. で、EPR/PDT ratioは 0.2153±0.00284 a.u.であった。得られた信号は、既存信号レベルであり、高線量被ばくを示唆する信号は今回の計測では認めなかった。 上述の研究により、ヒト上顎前歯からのEPR生体計測が可能となった。実際にヒトでの計測を通じて、データを得ることができ今後既存信号や測定機器の安定性向上のための有用な資料が得られた。共振器の感度向上も図れ、今後L-bandEPR線量測定装置を、被ばく事故発生時のトリアージとしての応用するため可能性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、実際にヒトで計測するためにEPR装置の改良を主体に予定していた。具体的には、①新型高感度共振器の開発導入②磁場変調用アンプの改良 ③EPR計測装置コンソール用PCプログラムの更新 ④頭部固定用非磁性体フレームの新設計・作製、口唇挙上用装置の改良(ラバーを貼り付け噛んだ状態で快適に保持できる)を実施した。検出器であるループ共振器の改良が実施でき、感度向上が図られた。頭部固定装置の改良、口唇挙上リトラクターの細部見直し、設計修正が実施でき、計測に関して安定した環境が整った。人からの計測も行うことができ、貴重なデータも得られた。研究は当初の計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ヒトからのデータ採取:ヒトからの計測をさらに実施し、データの集積また分析を実施する。ボランティアの前歯から可及的に多くのEPR信号計測を行う。ボランティアは、既存被ばくの有無を問わない。 2.計測時のS/Nを向上させるために、①頭部のより安定した固定、②電磁波ノイズの軽減を実施する。 3.本年が最終年度であり、今までに得られた研究成果をまとめ、国際学会(http://www.cvent.com/events/41st-annual-isott-meeting-epr-2013/event-summary-f2331d59bade408eaf18d20bd986ec35.aspx)で発表を行う。論文を作成し研究成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究経費として 消耗品として1.計測にかかる消耗品、口腔衛生用品2.データ解析のためのソフトウエア導入を予定している。また交通費として1.研究者の旅費として香川大学、北海道大学から埼玉県国立保健医療科学院への出向にかかる経費。2.研究成果の発表のための学会参加旅費を予定している。特に、米国ニューハンプシャー州ダートマス大学で開催される国際学会EPR2013(6月24日~28日)に参加し、これまでの研究成果の発表を行う。その他経費として1.出版物・印刷物および投稿料2.研究協力者(被験者)への謝礼・交通費が必要となる。
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Research Products
(8 results)