2012 Fiscal Year Research-status Report
マウス担癌モデルを用いた唾液メタボローム解析基盤の確立
Project/Area Number |
23592784
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
柴田 達也 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90323708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 明美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00339813)
中島 和久 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (90252692)
杉本 昌弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30458963)
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
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Keywords | 唾液メタボローム |
Research Abstract |
1.担癌マウスの唾液に現れる代謝産物のプロファイル:BALB/Cマウスに由来する乳癌細胞株4T1.2細胞を同系統のマウスの乳腺周囲皮下組織に移植し、腫瘍形成と増殖を確認したところで唾液、唾液腺、血液を採取して代謝産物のプロファイルを解析したところ、癌細胞を移植した群のプロファイルは乳腺上皮細胞株MM3MG細胞を移植した群あるいは細胞を移植しなかった群のプロファイルとは異なっていた。現在癌細胞移植群と対照群との間での個々の代謝産物の量比および唾液、唾液腺、血液、癌組織の間での代謝プロファイルの相違点について詳細な検討を行っている。 2.癌細胞移植前後での代謝産物プロファイル:癌の発症前後で唾液に現れる代謝産物のプロファイルが変化するかどうかを検討する目的で、癌細胞の移植前に唾液を採取する実験に着手したが、唾液採取後に安定的に麻酔から回復する条件の設定が難しく、現在1個体のみで癌細胞の移植前後の唾液を採取した段階である。 3.安定同位体(13C)標識グルコースの追跡:癌細胞に由来する代謝産物が唾液中に現れるかどうかを確認するために、まず前年度に13C標識グルコースを投与してから唾液、唾液腺、血液を採取し13Cで標識された代謝産物が唾液、唾液腺、血液に現れることを確認した。本年度は担癌マウスに13C標識グルコースを投与してから唾液、唾液腺、血液、癌組織を採取し、現在代謝産物のプロファイルの解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた癌の発症前後での代謝産物のプロファイル比較は進展しなかったが、担癌群と非担癌群との比較は解析が進んでいる。また13C標識グルコースの追跡実験は平成25年度に予定していたものであり、担癌マウスでその実験に着手しているので、おおむね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.13C標識グルコースの追跡実験に解析を進め、癌組織で代謝された産物が唾液中で検出できるかどうかを明らかにすることが現在の第一の課題である。 2.癌の進展によって代謝産物のプロファイルが変化するという報告がある一方で、進展によって変化しないという報告もある。現在は癌がはっきり触知できる段階で唾液、血液、唾液腺を採取しているが、癌が触知できる大きさになる前に代謝産物プロファイルの変化をとらえることができれば早期診断につながる重要なステップになる。そこで癌細胞を移植後から経日的に唾液を採取する実験を考えている。また使用している癌細胞は肺に転移巣を形成しやすいので、転移後に代謝プロファイルが変化するかどうかを検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
13C標識グルコースをマウスに投与するタイミングあるいは投与する部位の検討に繰り返し実験をする必要があると予想していたが、初回の実験で13C標識された代謝産物が唾液をはじめとして検出することができたため、高価な13C標識グルコースの購入代金が抑えられそれに伴い使用動物数も減少したため当該助成金が発生した。 13C標識グルコースの追跡実験は追加で行う予定であり試薬の購入に充当する予定である。
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