2011 Fiscal Year Research-status Report
パウダージェットデポジション法による象牙質上HAp高機能インターフェイス創成
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23592793
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野地 美代子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (70431583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
赤塚 亮 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10586514)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | パウダージェットデポジション / ハイドロキシアパタイト / インターフェイス / 象牙質 |
Research Abstract |
申請者らは,常温常圧下で歯質上にハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite; HAp)微粒子を高速噴射することでHAp膜を生成するパウダージェットデポジション(Powder Jet Deposition; PJD)法を開発した.パウダージェットデポジション(PJD)法とは,東北大学大学院工学研究科ナノ加工分野の厨川らが開発した精密加工分野で広く用いられているアブレイシブジェット加工を発展させたもので,セラミックス微粒子の高速衝突付着現象を利用したセラミックス基板上へのセラミックス微粒子の付着法である.このPJD法を応用し,常温常圧下でHAp微粒子を歯質上に高速で吹きつけ,接着材を介することなく直接HAp膜(右図)が形成されることが明らかになった.本研究は,PJD法を応用して象牙質上にHAp膜を形成し裏層,コーティングを行う新規治療法の開発を目的とし,(1)口腔内における象牙質上HAp膜の特性変化,特に石灰化と耐久性に関して焦点を当てた解明と,(2)前臨床研究,臨床試験の実施を行い,PJD法の象牙質への臨床応用に関する検討を行う.本年度では,象牙質上に成膜することで,HAp微粒子によって象牙細管が閉鎖され,一般的な知覚過敏抑制剤であるMSコートよりも象牙質透過性を低下させ,知覚過敏抑制効果が強いことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度では研究計画に従って,新ハンドピース型PJD装置を用い,これまでに確立された噴射条件を参考にし,象牙質に成膜を行い,PJD法によるHAp膜は非常に硬く,エナメル質と同程度であり,歯科診療で頻繁に使用されるコンポジットレジンと同程度の強い接着強度を有していることが明らかとなった.また,象牙質上に成膜することで,HAp微粒子によって象牙細管が閉鎖され,一般的な知覚過敏抑制剤であるMSコートよりも象牙質透過性を低下させ,知覚過敏抑制効果が強いことが確認された.
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Strategy for Future Research Activity |
前臨床研究として,イヌ歯質上HAp膜の口腔内変化に関する検討を行う.HAp膜の成膜のためには,ある程度の大きさを有する歯を必要とするため,イヌ(ビーグル犬10匹)にて動物実験を行う. 1)イヌ歯の(1)象牙質窩洞を形成した部分(2)歯頸部象牙質にHAp膜を成膜する.(1)に関してはHAp膜上にレジン充填する. 2)一定期間(1,3,6ヶ月,1年)飼育後,屠殺し,当該歯を抜去する. 3)象牙質上・象牙細管内のHAp膜の石灰化度の変化に特に注目して,以下の評価を行う.評価項目(1)硬度変化(マイクロビッカース硬度,接着試験,スクラッチテスト)(2)組成変化(EDX,FTIR)(3)形状観察(非接触型3次元形状測定器,SEM,TEM)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)