2012 Fiscal Year Research-status Report
パウダージェットデポジション法による象牙質上HAp高機能インターフェイス創成
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23592793
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野地 美代子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (70431583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30178644)
赤塚 亮 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10586514)
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Keywords | パウダージェットデポジション / ハイドロキシアパタイト / インターフェイス / サーマルサイクル |
Research Abstract |
パウダージェットデポジション(PJD)法は,歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(HAp)微粒子を常温常圧環境下(室温大気圧環境下)において歯質上に高速で吹き付け,接着材を介することなく,直接HAp膜を形成する技術である.本研究は,ハンドピース型PJD装置を用いて成膜されたHAp膜を形態的に評価し,既存の歯面研磨ペーストとCR研磨ペーストを用いて研磨操作を行い,HAp膜の研磨方法を検討し,さらに温度変化とpH変化の2つの因子に着目した擬似口腔内環境下におけるHAp膜の耐久性を評価することを目的とした.ハンドピース型PJD装置により,HAp膜がエナメル質上に緊密で均一に成膜された.最大膜厚は75 μm以上で,平均膜厚は約50 μmであった.検討した研磨ペーストの中では,ダイヤポリッシャ―ペースト(GC)が最も表面粗さ(Ra),最大高さ(Rz)を小さくし,光沢度を大きくした.サーマルサイクル試験前後のHAp膜はRa,Rz,硬度,接着強度において有意差は認められなかった.pHサイクル試験後のHAp膜は表面粗さ,最大高さは有意に大きい値を示し,硬度は有意に小さい値を示し,これはpHサイクル試験後のエナメル質と同様の性質を示した.口腔内環境を模したサーマルサイクル試験ならびにpHサイクル試験前後のHAp膜の形態性状,機械的性質の評価により,HAp膜が口腔内の温度変化やpH変化に対して耐久性を有していることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度では,口腔内環境をシミュレートしたサーマルサイクル試験前後のHAp膜の形態性状,機械的性質に変化は認められなかった.pHサイクル試験後のHAp膜とエナメル質は同程度の脱灰が生じ,同程度の機械的性質を有しており,HAp膜が口腔内環境に十分に耐え得る可能性があることを明らかにしたため.
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Strategy for Future Research Activity |
前臨床研究として,イヌ歯質上HAp膜の口腔内変化に関する検討を行う.HAp膜の成膜のためには,ある程度の大きさを有する歯を必要とするため,イヌ(ビーグル犬10匹)にて動物実験を行う. 1)イヌ歯の(1)象牙質窩洞を形成した部分(2)歯頸部象牙質にHAp膜 を成膜する.(1)に関してはHAp膜上にレジン充填する. 2)一定期間(1,3,6ヶ月,1年)飼育後,屠殺し,当該歯を抜去する. 3)象牙質上・象牙細管内のHAp膜の石灰化度の変化に特に注目して,以下の評価を行う. ①硬度変化(マイクロビッカース硬度,接着試験,スクラッチテスト) ②組成変化(EDX,FTIR) ③形状観察(非接触型3次元形状測定器,SEM,TEM)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前臨床研究を行うため、イヌと手術用器材、薬剤等に主に研究費を使用する。また、噴射装置用ノズル,HAp粒子,粒子充填用カートリッジに関しては高価な消耗品ではあるがHAp膜の成膜実験に必要不可欠であるため、経費を算出する。また、国外にて成果発表報告を行う予定であるため、その旅費を算出する。
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Research Products
(4 results)