2013 Fiscal Year Annual Research Report
菌体外マトリックスを標的とした成熟バイオフィルム制御のための多角的アプローチ
Project/Area Number |
23592795
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
竹中 彰治 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50313549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30220718)
興地 隆史 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80204098)
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
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Keywords | バイオフィルム / 浸透 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は強力な殺菌作用によるバイオフィルムコントロールから、マトリックスを標的とした制御戦略への方向性転換の必要性を提言するとともに、成熟バイオフィルムに対する新たな化学的制御戦略の確立を目的としている。 (1)人工バイオフィルム死菌構造体への再付着 これまで、口腔バイオフィルムの成熟とともに抗菌物質の浸透率が低下し深層部では有効殺菌濃度に到達しないこと、またバイオフィルムの殺菌処理後に付着界面にバイオフィルム構造物が残存することを報告した。そこで、残存したバイオフィルム構造が与える影響についてin vitroフローセル培養系を用いて検討した。その結果、殺菌処理したバイオフィルム構造体へ浮遊細菌の二次付着が有意に起こり、バイオフィルム再形成の足場となることを明らかにした。 (2)低濃度抗菌剤によるマトリックス形成亢進 バイオフィルム対策として抗菌成分を用いた場合、バイオフィルムへの抗菌成分の浸透率低下にともない、深層部では有効殺菌濃度以下となる可能性が考えられる。そこで、最小発育阻止濃度(MIC)以下の低濃度グルコン酸クロルヘキシジン(CHX)作用後のS. mutansバイオフィルムの形成量を検討した。1/8, 1/16, および1/32のCHX存在下もしくはCHX非存在下(対照)において、ガラス試験管壁に24時間培養することにより形成したS. mutansバイオフィルム中の生菌数をプレートカウント法により算定した。また、バイオフィルム量をクリスタルバイオレット法およびフェノール硫酸法を用いて測定した。その結果、バイオフィルム量は1/32MICのCHX存在下で対照群と比較して有意に増加した。このことから、S. mutansバイオフィルムでは有効殺菌濃度未満のCHXとの接触時にバイオフィルム形成が促進される可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)