2012 Fiscal Year Research-status Report
分子レベル解析技術を応用した接着機能性モノマーの網羅的解析と最適組成の検討
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23592798
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳥井 康弘 岡山大学, 大学病院, 教授 (10188831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 靖弘 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90281162)
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70304326)
白井 肇 岡山大学, 大学病院, 講師 (00263591)
河野 隆幸 岡山大学, 大学病院, 助教 (80284074)
鈴木 康司 岡山大学, 大学病院, 助教 (30304322)
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Keywords | 接着 / 機能性モノマー / 歯質 / 10-MDP / プライマーアドヘーシブ / 重合触媒 / 活性ラジカル |
Research Abstract |
実際に臨床の場で使用されている10-MDP含有歯質接着システムで象牙質を処理したところ,接着界面に10-MDPが2分子向き合った層状構造を形成していることが明らかとなり,10-MDPは界面に層状構造物を形成することで,接着の発現,その耐久性に寄与していると思われたが,良好な接着効果を得るためには歯質接着システムの構成成分が複雑に関係し大きく影響するものと思われる。 そこで本年度は, 10-MDPを接着機能性モノマーとして配合したセルフエッチングプライミングアドヘーシブを試作し,活性ラジカル発生挙動,重合率,重合体の硬さおよび歯質に対する接着強さへの構成成分の影響について検討した。組成成分としてBis-GMA, HEMA,10-MDP,無水エタノール,精製水,および配合割合をモノマーに対して1~5wt%で変化させたカンファーキノン(以下:CQ),4-ジメチルアミノ安息香酸エチル(以下:Amine)を用いてプライマーアドヒーシブを調整した。試料を光照射後直ちに電子スピン共鳴装置で時間経過ごとにラジカル発生量を測定した。また,赤外線分光高度計で光照射1時間後の各試料の重合率を測定した。さらに,1時間後および12時間後の牛歯エナメル質,象牙質への引張り接着強さを測定した 。以上の研究の結果,活性ラジカル量は光重合開始剤がCQ,Amine3wt%のもので常に最も高く,1wt%と5wt%では低かった.一方,重合率や接着強さは1wt%のものが最も低く,5wt%は3wt%とほぼ同じ高い値を示し,ラジカル発生挙動との明瞭な相関はなかった。本研究結果より,重合触媒量はおおむね3wt%付近が最適と思われたが,いずれもラジカル発生量と重合触媒系の量的関係は明瞭ではなかったため,今後さらに詳細に検討を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究成果としては,前年度に行った既存の接着モノマーである10-MDPを使用した歯質接着材においてモノマー-象牙質接着界面の構造についての化学的ならびに形態学的な分析による所見を基礎とした上で,接着性能に関与すると思われる接着材の構成成分の影響を調べるため,10-MDP含有セルフエッチングプライミングアドヘーシブを調整しそれに添加する重合触媒系モノマーの配合量による影響についてアドヘーシブの重合挙動を活性ラジカル発生量および重合率,さらに接着性能の面から検討し,その関係を一部明らかにしたことが挙げられる。 当初計画の全てが完了したわけではないものの,概ね順調に推移していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
10-MDPを含有する歯質接着システムを応用した際の歯質接着界面の分析は,一部明らかとなったものの,さらに詳細な検討が必要である。また,10-MDP以外の接着性モノマーについても検討を行っていく必要がある。接着システムへの接着性機能性モノマー以外の配合モノマーの歯質接着への影響をさらに調べる必要があり,本年度は10-MDPを用いてアドヒーシブを試作し,重合触媒系の配合量を変化させ,重合挙動,歯質接着性への影響を調べたが,重合触媒系の量的関係は明瞭には解明できているとはいまだ言えないため,今後さらに詳細に検討を行う必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備品の購入はなく,消耗品および成果発表のための費用(論文,旅費等)として研究費を使用する。 消耗品として以下のものを購入する。1)接着性モノマー合成あるいは接着材であるプライマーアドへーシブの調整に必要な薬品等の試薬類 2)ガラス,プラスチック器具類。3)各種分析機器のフィラメントやセンサー等の消耗品 4)XPS,薄膜X線回折装置による分析および引張接着試験に使用する牛歯,牛歯アパタイトのモデル化のためのアパタイトプレート 5)データ記録メディア
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Research Products
(2 results)