2012 Fiscal Year Research-status Report
生体In vivoパッチクランプ法を用いた咬合・咀嚼と精神活動との関係の探索
Project/Area Number |
23592831
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坪井 明人 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00241646)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若森 実 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50222401)
|
Keywords | In vivo パッチクランプ / 咬合感覚 / 精神状態 / 脳幹網様体 |
Research Abstract |
本年度も、生体In vivoパッチクランプ法の鍵となるプローブ(パッチ電極)の開発およびin vivo標本の作製法の確立を目指し、種々のテーパー形状、先端形状および先端径のパッチ電極を作製したが、残念ながら使用に耐えうるパッチ電極は未だ得られていない。一方、この試作したガラス電極の一部は、細胞外記録には十分使用可能であったことから、まず、上行性賦活系の主要構成要素であり、神経細胞が脳幹網様体よりも密在している視床からニューロン活動を記録することとした。脳幹部とともに視床についても細胞構築学的構造がほぼ明らかになっているウサギをモデル動物として用いた。麻酔下で脳定位固定装置に固定したウサギ(日本白色種、体重2.0~2.3kg)の頭頂骨を一部削除して大脳皮質を露出し、これより視床への電極の刺入とニューロン活動の記録を試みた。ウサギ10羽の視床後内側腹側核(VPM)から201個のニューロンが記録された。これらは、顎顔面口腔領域の機械刺激に応答するニューロン(194個)と顎顔面口腔領域の機械刺激に応答しない自発放電ニューロン(7個)に大別された。また、顎顔面口腔領域の機械刺激に応答するニューロンの85%が、咬合・咀嚼に関連する機械刺激に応答を示した。これらの結果は、ウサギVPMから記録されたニューロン活動は、脳幹網様体に存在する意識レベルに関与する神経細胞活動と関連しながら、咀嚼・咬合による感覚情報が高次脳機能である精神活動に影響を及ぼすメカニズムの一端を担っていると示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規パッチ電極は、未だ使用に耐えうるものとはなっていないが、おおよその方向性は見えてきている。また、脳幹網様体中の神経細胞の分布密度が比較的疎であるため、まず視床から神経活動を記録することで、おおよその傾向が掴めてきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
新規パッチ電極の完成と目的とする神経細胞への到達方法および同定法の改良に注力する。また、麻酔深度のコントロールが本研究の進捗の鍵となっていることが示唆されているので、全身状態のコントロール法についてもさらに検討を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画の最終年度にあたることから、学会発表ならびに論文発表に研究費を厚く配分する。
|