2012 Fiscal Year Research-status Report
チタンをニッチとした間葉系幹細胞による新規インプラント治療
Project/Area Number |
23592888
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熱田 生 九州大学, 大学病院, 助教 (30423487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50195872)
鮎川 保則 九州大学, 大学病院, 講師 (50304697)
鈴木 裕美子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 特別研究員 (20432916)
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
研究テーマとしての目標は臨床応用であるが、本研究では動物実験までを到達目標とした。「チタン上Niche」で教育されたMSCを、インプラントモデルラットに注入し、インプラント周囲の組織変化を長期間観察・評価した。その詳細については割愛するが、使用するMSCも骨髄や歯肉由来を用い、より有効なものを検索した。この結果をもって翌年度の大動物、臨床研究への基礎データとする。つまり本研究では、in vitroにてチタンをNicheとしそこで教育されたMSCを作製。さらにin vivoでインプラント周囲での組織安定性を図った。ラット大腿骨骨髄から採取した骨髄細胞からチタン上でMSCを選択的に培養、それをラット口腔内へのインプラント埋入時または埋入後に添加した。そして来年度から実験の最終段階としてはインプラント周囲における軟組織および硬組織の慢性炎症の消失と、動物実験でも6割以上生じるインプラント周囲上皮深部増殖の抑制を組織形態的かつ生化学的に評価することにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は歯科インプラントの口腔内での長期維持のため、インプラント周囲における上皮封鎖性の向上を目指す。ただしその方法は従来のような生体親和性の高い材料の開発ではなく、インプラント周囲組織からの親和性、「チタン親和性」組織の誘導である。すなわち通常は異物として認識されうるチタン製インプラントを、幹細胞の初期培養環境の一部とすることで、幹細胞にインプラント自体を生体の一部と認識させる。このような応用法は免疫干渉能を持ち、細胞微小環境を形成する間葉系幹細胞(MSC)を用いてのみ出来るものである。さらにこの治療法は概念としての独創性だけで手技的には簡易であり、歯科だけでなく人工物を使用するすべての医療にも応用可能な技術と考えられ,将来的には幅広い分野への貢献を期待するものである。この流れに沿って現在概ね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「チタン周囲Niche」に適したMSCとして長幹骨骨髄、粘膜だけでなく顎骨骨髄、歯肉や膵臓などからも採取し評価する必要がある。各MSCでその働きが異なるからであり最適なものを検索する。投与する細胞濃度や投与回数などの条件にも検索が必要であろう。また前年度の実験内容で修正可能な部位が見つかれば、随時方法を改善しデータの蓄積を行う。先にも述べたとおり本実験の最終目標はヒトへの臨床応用である。そのためヒトMSCなどの使用も検討する。 ・本年度の実験計画および方法 → 前年度までと同様の手技を用い上記条件で実験を行う。 現在MSCによる細胞治療は世界的に注目され、実際良好な治療結果を掲げる論文も多数報告されている。これらの新しい概念と技術は、歯科領域だけにとどまらず医療全体、国内だけでなく世界に影響を及ぼすものと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は設備購入は計画しておらず研究計画では、in vivoおよびin vitroの双方にまたがって実験動物や培養に関連する消耗品が必要不可欠となる予定である。
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