2012 Fiscal Year Research-status Report
骨成長因子・骨補填材を用いた骨造成術における三次元的・病理組織学的検討
Project/Area Number |
23592891
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西原 一秀 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30253892)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
松山 孝司 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40253900)
田松 裕一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80266569)
|
Keywords | 第二世代濃縮血小板 / 骨補填剤 / 骨造成術 / 歯科用インプラント / CGF |
Research Abstract |
【目的】本年度は、鹿児島大学病院臨床研究倫理委員会で承認の得られた濃厚血小板および人工骨補填材を用いた骨造成術の臨床的検討を行った。 【対象ならびに方法】対象は、当科でインプラント治療を希望した患者6名ならびに口唇口蓋裂治療で顎裂自家腸骨海綿骨術を行った患者3名で、インプラント治療患者の内訳は上顎洞庭挙上術の骨造成術1例、外傷後の骨欠損部の骨造成術3例、歯周疾患による骨欠損部の骨造成術1例であった。方法は、患者の採血から供血用遠心機MEDIFUGEを用いて得られた第二世代濃縮血小板concentrated growth factor(以下、CGF)を作成し、CGF単材あるいは自家骨、骨補填剤と混和して用いた。 【結果ならびに考察】全症例で術中、術後にCGFによる重篤な合併症は見られず、本材は安全に使用できることが確認された。上顎洞庭挙上術症例では左側上顎臼歯部45678欠損部のインプラント埋入時に行われたソケットリフトにCGFを単独で用いた。術中CGFによって上顎洞庭は安全に挙上され、インプラント体の洞内露出も認めなかった。術後9か月経過し、レントゲン写真にて同部位に骨新生が認められ、インプラント体の動揺もなく最終補綴物が装着されCGFの有用性が示唆された。また、外傷後の骨欠損症例では自家骨移植術に移植骨の同時に用いた。術後、創部の治癒も良好で、骨も露出も見られず経過は良好であったが、骨造成術から経過が短いため今後の経過観察が必要と思われた。。さらに、顎裂部骨移植術症例では自家腸骨海綿骨と一緒にCGFを用いた。術後、骨露出もなく創部に治癒は良好であったが、CGF未使用と比較して創部の腫脹、血腫の出現には差を認めなかった。したがって、軟組織の治癒における効果の判明には至らなかった。今後、症例を増加して長期的な検討を加える必要があると思われた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当科で臨床研究の同意の得られた患者に対してCGFを手術時に用い、その臨床的効果を検討した。その結果、症例数は少ないが本研究で骨造成術に使用したCGFは安全に臨床使用を行うことが可能であることがわかった。さらに、CGFを用いた骨造成術は全症例において良好な結果が得られ、今後の研究結果に期待が持てることが判明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、CGFを単独に用いた骨造成術と他の骨補填剤および自家骨とCGFを混和して行った骨造成術の長期経過を観察し、その使用方法の有用性を検討することとする。さらに、最終的には現在骨造成術の材料としては自家骨がgolden standardと言われているが、骨採取に負担がかかるため、それに代わる骨材料の開発に関与したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、これまで行ってきた研究を継続するとともに最終年度となるために研究成果を発表し、研究論文として報告する予定である。
|