2012 Fiscal Year Research-status Report
軟組織損傷治療・再生医療を目指した唾液蛋白質ヒスタチンの作用機序解明
Project/Area Number |
23592906
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
今村 泰弘 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00339136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雪田 聡 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (80401214)
藤波 義明 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80392801)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
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Keywords | 唾液蛋白質 / ヒスタチン |
Research Abstract |
歯周病発症の原因には環境的・遺伝的要因がある。主たる環境的要因である歯周病原因菌の刺激は、硬・軟組織の破壊を誘導する。これらは歯周組織細胞間の複雑な相互作用で惹起され、慢性炎症症状を伴う。歯周病は、全身疾患(心臓血管疾患、糖尿病など)と密接に関係することが示唆されている。 唾液の機能は口腔内の恒常性維持や嚥下、咀嚼などである。また、唾液の構成成分は、口腔疾患(歯周病、う蝕、口腔乾燥症、カンジタ症、ウイルス感染、癌など)と高い相関性がある。唾液成分の1つであるヒスタチンは唾液中に比較的多く存在するペプチドである。その機能は、カンジダ菌・歯周病原因菌などに対する抗菌作用、歯周病原因菌由来プロテアーゼ・コラゲナーゼ阻害作用、う蝕原因菌の増殖抑制作用である。これまでに、我々は歯周病原因菌由来リポポリサッカライド刺激によるヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)の炎症性サイトカイン産生促進機序を明らかにした。また、自然免疫因子であるヒスタチンの宿主に及ぼす生理的意義の1つとして、HGFs内に移行したヒスタチンは熱ショック蛋白質HSC70と結合すること、また、この複合体はp27Kip1(負の細胞周期制御因子)と結合し、HGFsのG1→S期移行を促進(細胞増殖・生存)することを明らかにした。 細胞周期制御に関わる因子は、ユビキチン化とプロテアソームによる分解を受けることが知られている。我々は、in vivoにおいて、ヒスタチン、HSC70強発現下でp27Kip1のユビキチン化が促進されることを明らかにした。また、ヒスタチン/HSC70複合体に結合する因子のcDNAをスクリーニングした。これらについて、現在詳細に検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
総じて、難解な実験系の条件検討や予備実験があり、特に、スクリーニングは思いのほか時間を要した。しかしながら、これらの実験において、1つ1つクリアし始め、データが得られてきている。また、論文投稿にあたり、査読者からのコメントが多く、これらの対応に時間を要している。これも見通しが立ち始めていることから、進捗していくものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を円滑に推進するために、特に以下のことに重点をおき行なう。実験遂行にあたり、条件検討などにおける試行錯誤で時間がかかるのは致し方ないが、今以上に様々な研究者とのディスカッションや学会参加、文献などによる様々な最先端の情報を積極的に収集する。得られた情報や知識を本研究課題の実験に生かして推進させることを方策とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の助成金がある状況となったが、概ね計画通りの研究費使用となっている。現在論文投稿中であり、今年度中に受理されることを目指していたが叶わなかったため、掲載料分は次年度助成金にせざるを得なかった。次年度助成金の使用計画は、交付申請書に基づき行われる予定である。
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Research Products
(6 results)