2013 Fiscal Year Annual Research Report
軟組織損傷治療・再生医療を目指した唾液蛋白質ヒスタチンの作用機序解明
Project/Area Number |
23592906
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
今村 泰弘 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00339136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雪田 聡 静岡大学, 教育学部, 講師 (80401214)
藤波 義明 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80392801)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
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Keywords | 唾液蛋白質 / ヒスタチン |
Research Abstract |
歯周病は環境的・遺伝的要因により発症する疾患である。歯周病原菌は環境的要因の1つであり、これらの刺激は歯周組織細胞間の複雑な相互作用により慢性炎症を呈し、硬・軟組織の破壊を誘導する。近年、歯周病と全身疾患(心臓血管疾患、糖尿病等)との関係が示唆されている。 唾液は口腔内の恒常性維持や嚥下、咀嚼等といった機能を有する。唾液の構成成分、特に唾液蛋白質は、歯周病、う蝕、カンジタ症、ウイルス感染、癌等といった口腔疾患と関係する。唾液蛋白質ヒスタチンは唾液中に比較的多くある自然免疫因子で、カンジダ菌・歯周病原菌等への抗菌作用、歯周病原菌由来プロテアーゼ・コラゲナーゼ阻害作用、う蝕原因菌の増殖抑制作用がある。これまでに、歯周病原菌のリポポリサッカライドによるヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)の炎症性サイトカイン産生促進機構について明らかにした。また、ヒスタチンはHGFs内に移行後、熱ショック蛋白質HSC70と結合し、この複合体に負の細胞周期制御因子p27Kip1が結合してG1→S期移行を促進することが示唆された。しかし、その詳細な機序は不明であった。 細胞周期は、これに関わる因子のユビキチン化とプロテアソームによる分解で制御される。ヒスタチン、HSC70の細胞強発現系により、p27Kip1のユビキチン化促進効果を明らかにしてきた。また、ヒスタチン/HSC70複合体に結合する新規因子のcDNAをスクリーニングしたところ、細胞分裂時の中心体に存在するε-チューブリン(TUBE1)であった。ヒスタチン、HSC70、TUBE1を細胞に強発現させ免疫沈降法で解析したところ、これらは互いに結合した。更に、HGFsの内在性HSC70/TUBE1複合体形成は、ヒスタチン存在下で増加した。以上から、ヒスタチンは自然免疫因子のみならず、宿主に影響を及ぼす生理活性物質であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)