2013 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル上皮腫による骨破壊・浸潤に関わる細胞間シグナルの解明と治療戦略への展開
Project/Area Number |
23592929
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50274064)
清野 透 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (10186356)
岸田 想子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40274089)
|
Keywords | 口腔外科一般 / エナメル上皮腫 / 歯原性腫瘍 / Wntシグナル |
Research Abstract |
エナメル上皮腫の局所浸潤能に関わる分子シグナルの解明についての基礎研究を可能にするために、まずコントロールとなる口腔粘膜上皮細胞由来の不死化細胞株(MOE-1a, MOE-1b)を作成した.86日間の培養での形態、上皮マーカー発現、LPSによる各腫サイトカインおよびMMPの分泌および足場依存性増殖の解析で、MOE-1細胞は上皮としての特性を維持し、悪性転換の兆しはなく、3か月以上の培養が可能であることが示された. 次に、同様の手法で濾胞型エナメル上皮腫細胞由来の不死化細胞株(AM-3)を作成し、MOE-1および、既存の網状型エナメル上皮腫由来不死化細胞株AM-1と生物学的特性を比較した.AM-3は2か月以上の培養でエナメル上皮腫細胞の形態と三次元増殖態度、上皮系および、間葉系マーカーの発現を示した.MMPの発現を観察すると、AM-1, AM-3では有意にMMP-2, -9の発現がMOE-1よりも亢進していた.また、MMPの発現は既存の口腔癌細胞株(HSC-2, HSC-4, Ca-9, KON)より有意に高く、骨浸潤を特徴とするエナメル上皮腫の特性を示すことが示唆された.さらにWnt関連遺伝子の発現を比較するとAM-3ではWnt5aやその受容体であるFrizled, LRP が多くみられた.Wnt 3aタンパクで刺激した場合のMMP-9の発現をAM-3とAM-1で比較すると、濃度ならびに時間依存性にAM-3のMMP-9の発現ならびにゼラチン分解活性が上昇し、AM-1との間には明らかな差があることが観察された. 以上の研究結果から、エナメル上皮腫の局所浸潤性は、Wntシグナル経路を介したMMPの発現によって制御されていること、および濾胞型エナメル上皮腫と網状型エナメル上皮腫の局所浸潤性の違いにWntシグナル経路を介したMMPの発現、活性化の違いが関与していることが示唆された.
|