2012 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を念頭に置いた羊膜を基質とした培養歯髄由来細胞シートの開発
Project/Area Number |
23592934
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山本 俊郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40347472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 傑 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90398389)
喜多 正和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60153087)
金村 成智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70204542)
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Keywords | 羊膜上培養歯髄細胞シート / 羊膜 / 歯髄由来細胞 / 免疫組織化学 / 移植・再生医療 / 再生医学 / 歯学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
これまでに、我々は抗炎症作用・感染抑制作用等を有する羊膜に注目し、羊膜を基質とした培養口腔粘膜上皮細胞シートならびに培養歯根膜シートの作成方法を確立した。そこで今回我々は、幹細胞ソースとして近年着目され、骨分化能に関する報告が散見される歯髄細胞に注目した。 研究は、羊膜上に歯髄由来細胞を培養し、培養歯髄シートを作成、免疫組織学的な検討を行った。さらに、培養歯髄シートの骨分化能に関して検討を行ったので報告する。 歯髄由来細胞は、抜去された智歯より歯髄組織のみを採取。10%FBS/DMEM培養液にて3~4代継代培養後、羊膜上にこれら歯髄由来細胞を播種し、2週間培養、HE染色ならびにvimentin、Ki-67、Zo-1、CD44、CD105、CD146の局在について免疫組織化学的検討を行った。また、羊膜上に歯髄由来細胞を播種、10%FBS/DMEM(control群)あるいは骨分化誘導培地(アスコルビン酸、β-グリセロリン酸、デキサメサゾン添加10%FBS/DMEM培地)(骨分化群)にて4週間培養。その後、アリザリンレッドS染色を行い、骨分化能に関して検討を行った。 その結果、歯髄由来細胞は羊膜上で層状構造を示し、シート状の培養が可能であった。羊膜上歯髄由来細胞はvimentin、Ki-67、Zo-1陽性であり、間葉系幹細胞マーカーであるCD44、CD105、CD146陽性細胞の局在を認めた。また、アリザリンレッドS染色では骨分化群がcontrol群と比べ高い染色性を示した。 以上の結果から、シート上に存在する歯髄幹細胞による歯周組織再生の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の交付申請書に記載した「研究の目的」では、1. 歯髄由来細胞を羊膜上にてシート状に培養し、作成した羊膜上培養歯髄由来細胞シートの組織学的・免疫組織的検討を行うこと、ならびに2. 実験動物への移植後における同培養シートの遊走増殖を経時的に観察し、羊膜特有の作用(抗炎症作用・感染抑制作用など)を持つ新たな培養シートの開発のための検討を行うとしている。 具体的には、平成23年度に「羊膜を用いた歯髄由来細胞培養シート作成の最適化および組織学的・免疫組織学的検討」、平成24年度に「歯周病原因子に対する羊膜上培養歯髄由来細胞シートの免疫学的特性の検討ならびに移植に関する検討」、平成25年度に「各々の患者に 応じた羊膜上培養歯髄由来細胞シートの作成」といった研究計画を立案している。 そこで現状としては、前記の「研究実績の概要」に記載したとおり、平成24年度は、この歯髄由来細胞培養シートの移植を目指して、シートのさらなる最適化を実施した。その結果、この歯髄由来細胞培養シートは、骨分化能を有し、歯周組織再生の可能性を見いだした。そして、本研究課題の交付申請書に記載した「研究の目的」の2. の後半部分である新たな培養シートの開発(最適化)に関しては一定の成果が得られた。しかしながら、「研究の目的」の2. の前半部分である実験動物への移植後は、今のところ未達成となっている。このため本研究課題の「現在までの達成度」は、自己点検による評価 として、上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、交付申請書に記載した「研究の目的」を遂行にあたり、「歯周病原因子に対する羊膜上培養歯髄由来細胞シートの免疫学的特性の検討ならびに移植に関する検討」と「各々の患者に応じた羊膜上培養歯髄由来細胞シートの作成」を予定している。 具体的には、さらなる本培養シートの最適化として、(1)歯周病原因子に対する羊膜上培養歯髄由来細胞シートの免疫学的特性:同培養シートに対し1, 6, 10MPaのメカニカルストレスを60分間付与群、歯周病原菌P. gingivalis 1X107 CFU/mlで24時間刺激群、同条件でメカニカルストレスとP. gingivalisの共刺激群を実験群とする。なお、対照群は無刺激群とする。各群に対してRT-PCR法やELISA法を用いた定性・定量分析を行う(炎症性サイトカイン等を検討予定)。(2)羊膜上培養歯髄由来細胞シートの移植と経時的動態の検討:同培養シートを実験動物(Fischer 344ヌードラット)へ移植し、細胞の遊走増殖を経時的に観察、組織学的・免疫学的検討を行う。移植方法は、実験動物の臼歯支持骨を削除、露出歯根面を作製した歯周欠損モデルへの移植を予定している。しかし、生着組織の均一化や特定が困難であること、また極めて狭小な部位への細胞移植であり、安定した再現性が得られないことが予測される。そこで、細胞を一箇所に留めることが可能であり免疫寛容が高い腎被膜下への細胞移植法の応用も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は、上記(1)と(2)の研究などに費用を充てる予定にしている。 (1)の研究では、おもにガラス器具、培養試薬、薬品の消耗品に関する消耗品費が必要となる。 (2)の研究では、(1)の研究費に加えて、実験動物の購入、飼料代などの飼育費用が必要となる。 さらに、研究成果発表のための旅費・投稿費・外国語論文の校閲費などが必要となる。
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Research Products
(4 results)