2012 Fiscal Year Research-status Report
凍結切片を利用したiPS細胞の効率的分化誘導法および品質評価法の確立
Project/Area Number |
23592950
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
寺田 知加 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (40460216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
佐藤 徹 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30170765)
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20380090)
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Keywords | 再生医療 / iPS細胞 / 口腔粘膜由来iPS細胞 / 分化誘導 / 質の保証 |
Research Abstract |
現在めざましい進歩を続けるiPS細胞研究であるが、効率的で確実な分化誘導法の確立と樹立されたiPS細胞の質の評価法の確立は最も解決が待たれる問題点である。そこで本研究では、実際に再生を目指す組織・臓器の凍結切片上でiPS細胞を培養することで、それぞれの組織・臓器の機能細胞に最適な細胞外基質と分化因子を効率的かつ確実にiPS細胞に作用させることができる新たなiPS細胞の分化誘導法を確立するとともに、この方法を用いて、iPS細胞のクローン毎の分化能の違いを明らかにし、さまざまな組織・臓器の再生に利用できる最適なクローンの選別を検証することによる、新たなiPS細胞の質の評価法の確立を目指すことを目的とし、これまで、ヒト口腔粘膜由来iPS細胞の分化誘導について検討を進めてきた。マウスから正常肝臓を摘出、凍結切片を作成し、この切片上でiPS細胞を培養した。また、マウス腹腔内に四塩化炭素を投与して薬剤性肝炎を誘発し、臓器本来の再生能力を引き出した上でこの肝臓を摘出し、この凍結切片上でもiPS細胞を培養した。その結果、コントロールと比較して、肝臓の凍結切片上で培養したiPS細胞では、肝臓に関連する分子(αアンチトリプシン、アルブミン、αフェトプロテインなど)のmRNAおよびタンパク質を発現する細胞の割合が有意に高くなった。また、肝炎肝臓凍結切片上で培養した場合には、肝臓組織の破壊が進んだ切片では、正常肝臓に比較して分化誘導された細胞の割合は低下した。これらのことから、再生を目指す組織・臓器の細胞外基質などの因子が分化誘導に大きく貢献している可能性が示唆された。今後は、神経組織や他の組織への分化誘導を試みるとともに、他のiPS細胞やクローンを用いてさらに研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では今年度は、ヒト口腔粘膜由来iPS細胞を用い、再生を目指す目的組織・臓器の凍結切片上での効率的な分化誘導を目指し、その結果を解析するとともに、iPS細胞のクローン間での分化誘導に対する差について解析することでその質の差について検討する予定であったが、概ね順調に解析を進められており、現時点では本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られている肝臓切片上で培養したiPS細胞における肝臓関連分子の解析に加えて、神経や骨などの他の肺葉の臓器・組織に関連する分子を解析することで、肝臓への特異的な分化誘導が行われているか否かについて検討する。さらに脳および脊髄組織を用いて凍結切片としてここでiPS細胞を培養することで神経への分化を誘導し、同様に関連分子を解析することで、他の組織・臓器への分化誘導が可能であるか否かについて検討する。また、同様の分化誘導を、他のiPS細胞クローンを用いて行い、それぞれのクローン間での分化誘導に対する反応の差について解析することで、iPS細胞の質の解析につなげる。さらに他の組織由来のiPS細胞でも同様の分化誘導を行うことで、由来組織による誘導効率の差や、それぞれのクローン間での誘導効率の差についても検討を加える予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度には、研究計画に基づき、細胞培養用試薬、分子細胞生物学的検討試薬類、生化学的検討試薬類、組織学的検討試薬類、実験用動物、などに物品費を使用し、成果発表のために旅費を使用するとともに、人件費、謝金、論文印刷費などを計上している。前年度からの繰越金が発生しているのは、今年度、凍結切片上での分化誘導に際し、前年度と同様の解析試薬類を用いることができたためで、次年度以降は他の臓器、さらに他のiPS細胞を用いて同様の実験を行う計画であり、これらの組織・臓器に特異的な遺伝子、タンパク質の解析を進めるために細胞培養、分子細胞生物学的検討、生化学的検討、組織学的検討が必要であり、また、他の組織由来のiPS細胞を維持・培養していくためのランニングコストが必要で、本来今年度に使用する予定であったこれらの繰越金を有効に使用して、これらの遅れている組織・臓器に対する解析を進めるとともに、他のiPS細胞を用いた分化誘導を進め、先行している結果とともに、本研究を順調に進展させていく予定である。
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