2012 Fiscal Year Research-status Report
発現遺伝子に基づく組織の悪性度と患者免疫能評価を組み合わせた口腔癌の予後診断法
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23592976
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00224957)
山崎 裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (90250464)
藤内 祝 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50172127)
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
式守 道夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (70154193)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 講師 (70533446)
村松 泰徳 朝日大学, 歯学部, 教授 (30247556)
本橋 征之 朝日大学, 歯学部, 助教 (80396390)
出雲 俊之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 准教授 (80322709)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 助教 (70513670)
神谷 真子 朝日大学, 歯学部, 助教 (80181907)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / Tリンパ球 / CD57 / IFN-γ |
Research Abstract |
平成23年度までの検討では、OSCC患者の末梢血細胞を抗CD57、αβTCR、CD8、CD4それぞれの抗体にて4色染色し、単核球分画をフローサイトメーター法(FACS)により調べた結果、健常者に比べ患者末梢血中のCD4陽性CD57陽性T細胞と、古典的CD8陽性CD57陽性killer T細胞は優位に増加していること、およびCD4陽性T-NK細胞は早期症例においてよりも、進行症例で顕著に増加することを確かめた。このことからCD57陽性、T細胞を中心にした亜集団の動向がOSCCの発症や進展の指標となることが示された。24年度には、OSCC患者症例数を49例まで増やして患者の病期ステージ(IからIV)との相関を検討した。その結果、CD4陽性CD57陽性T細胞のCD4陽性T細胞における比率はステージの上昇に伴い増加することが示された。 さらに患者末梢血中のサイトカインレベルをELISA法で調べると、IFN-γ、IL-10、IL-4の量と病期との有意な相関は見られなかった、一方、LPSによって患者末梢血細胞を48時間刺激培養し、上清に放出されるサイトカイン産生能を検討した結果、OSCC患者末梢血細胞のIFN-γ産生能は、患者の病期がステージIからIIIに進行するのに伴い有意に低下した。逆にステージIIIからIVへの推移ではIFN-γ産生能が上昇した。症例群の詳細な検討から、ステージIからIIIにおける誘導能の低下は、腫瘍径に逆比例して有意に低下し、一方、ステージIIIからIVにおける上昇は、リンパ節転移能に比例して引き起こされることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実績により、医癌や肝臓癌患者と同様に口腔扁平上皮癌患者においても特異的なTリンパ球亜集団がその発症や悪性度の進展に伴って変化していることを突き止めた。平成24年度には更に症例数を増やしてその事実を確かめるとともに、患者末梢血細胞成分のLPS刺激時のサイトカイン(IFN-γ)産生能が患者の病態像を反映して変化することを突き止めた。これにより口腔扁平上皮癌患者の全身状態を評価するための指標についてのスクリーニング及び、診断法の概要が定まったと考えている。従って、全行程のほぼ70%に及ぶ過程を達成していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
OSCC癌患者においてTリンパ球亜集団(CD4陽性CD57陽性T細胞)や、患者末梢血細胞成分のLPS刺激時のサイトカイン(IFN-γ)産生能が患者の病態像を反映して変化することを突き止めたので、今後その診断学的な意義を深め確立してゆくためにさらに多くの症例検討を重ねてゆく。また、OSCCのステージがIからIIIに進行する過程では腫瘍径の増大に伴いINF-γ産生能が低下するのに対して、ステージIIIからIVへの推移ではリンパ節転移の増加に伴い末梢血INF-γ産生能が増加することが確かめられ、悪性形質の違い(具体的には腫瘍径の増大とリンパ節転移能)による場合分けを検討することが必要となっている。この点を明確にするためには、坦癌状態に置ける血液細胞の変化が、どのような機構によって制御されるのか検討するための動物モデルの構築が必要と考えている。即ち、口腔癌を発症したマウスの末梢血Tリンパ球の動向を観察し、末梢血または脾細胞のサイトカイン産生能の検討を行なう必要がある。 さらに悪性度の異なる患者の癌組織の間で発現に有意差を示すマーカー遺伝子をcDNAアレイや定量的PCR法等によって検討し、発現パターンを臨床像や血液細胞等の動向やサイトカイン産生能と比較して診断への有用性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の直接経費1,000,000円のうち、凡そ300,000円をFACS用抗体、血清診断キット等の購入、100,000円をRNA抽出キット、定量的PCRキット、オリゴプライマー等の購入、200,000円を牛胎児血清など細胞培養試薬の購入に充て、その他一般試薬に200,000円、200,000円を学会、研究打ち合わせの旅費、その他の費用として使用する見込みである。
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[Presentation] CD4+ CD57+ T cells and cytokine producing capabilities in peripheral blood from oral squamous cell carcinoma patients.2012
Author(s)
Kousuke NAGANAWA, Eiji TAKAYAMA, Makoto ADACHI, Junichi BABA, Masaki IIDA, Kenji MITSUDO, Masao ICHINOSE, Yasunori MURAMATSU, Iwai TOHNAI, Michio SHIKIMORI, Nobuo KONDOH.
Organizer
第71回癌学会学術総会
Place of Presentation
札幌
Year and Date
20120919-20120921
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