2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しい視点からの局所麻酔薬の薬理作用と有害作用の研究
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23592977
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 和昭 北海道大学, -, 名誉教授 (00002361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 邦明 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40133748)
平沖 敏文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (10125346)
藤澤 俊明 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30190028)
渋谷 真希子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30399951)
木村 幸文 北海道大学, 大学病院, 助教 (00292037)
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Keywords | 局所麻酔薬 / Na,K-ATPase / Ca-ATPase / アルカリ性ホスファターゼ / リン脂質 / リポソーム / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
1.平成25年度までに、神経細胞膜のNa,K-ATPaseは、5種類の局所麻酔薬の濃度に依存 して抑制され、活性の50%阻害濃度と局所麻酔薬の力価あるいは毒性の間には相関が見られること、活性抑制の原因としてNa及びKイオンに対する親和性の低下が考えられ、生体膜の構成脂質が局所麻酔作用に影響することを示した。さらに、歯科臨床との関連から、局所麻酔薬は骨芽細胞由来の酵素を濃度に依存して抑制することも明らかにした。 2.平成25年度は、生体膜のモデルとして多重層リポソームに対する全身麻酔薬であるイソフルレンの影響を、19Fの核磁気共鳴(NMR)を用いて解析した。NMRのスペクトル変化から、イソフルレンはリポソーム上でフリーのイソフルレンと化学交換をしていること、また、スピンラベル剤の常磁性効果から結合場所は膜の表層であることを明らかにした。 3.ラット脳のCa-及びMg-ATPase活性に対する各種麻酔薬の作用を調べた結果、局所麻酔薬はアルカリ性至適pHのF-ATPase及びBasal Mg-ATPaseを抑制するが、中性至適pHのV-ATPase及びP-type ATPase活性を抑制しないことを明らかにした。また、局所麻酔薬の作用はtetracaineでは強く、lidocaineは中程度、procaineでは弱く、臨床的な局所麻酔薬の作用強度に類似した傾向を示した。 4.ラット脳のCa-及びMg-ATPase活性に対する静脈麻酔薬の作用を比較したところ、PentobarbitalやThiopentalはすべての活性を抑制するのに、PropofolはF-ATPase活性を促進し他のATPase活性は抑制するという臨床との関連でも興味深い結果を示した。 5.各種麻酔薬の構造と、酵素活性に対する作用の相関に関して現在解析中である。
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Research Products
(10 results)