2012 Fiscal Year Research-status Report
延髄侵害受容システムの可塑的変化におけるグリア細胞機能の免疫組織化学的検討
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23592978
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
詫間 滋 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60360921)
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Keywords | 三叉神経脊髄路核 / capsaicin / BDNF / ミクログリア |
Research Abstract |
まず前年度の計画を見直し、問題点を検討した。当初、幼若ラット遊離脳幹からパラフィン包埋ブロックを作成した後、これをミクロトームにより水平断スライス標本とし、さらに酵素抗体法による免疫染色を行う方針としたが、安定した染色結果が得られなかった。この方法では標本作成工程が多く標本作成までに時間を要するため、短期間に問題点を改善するのは困難と考えられた。また立体的な構造解析には、より厚みのある標本が対象として適していると思われた。そこで本年度からは、灌流固定後の遊離脳幹を数十ないし数百ミクロンの厚みでスライス標本とし、これに免疫染色を行い蛍光抗体法で観察し、その上で詳細な検討が必要と考えられる部分に関しては酵素抗体法による観察を試みる方針とした。 蛍光抗体法に使用する組織標本は通常、凍結標本からスライスを切り出すか、固定後標本をマイクロスライサー(ビブラトーム)でスライスに切り出す手法で作成する。当教室では後者に適したマイクロスライサーDTK3000w(堂坂イーエム社)を所有しており、本研究の標本作成に利用する方針とした。しかし実際の標本作成に先立ちDTK3000wを試運転した結果、同機のヘッド部の微動が作動不良であった。この原因をメーカーに照会したところ、修理不能の故障であることが判明した。現在までに観察系および記録系は整備済みであるため、蛍光染色に適したスライス標本の作成が次年度に向けての課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
免疫組織化学を用いた観察手法について、蛍光抗体法による検討を先行させ、詳細な解析は追って酵素抗体法で行う方針に転換したが、当教室所有のミクロトームの修理不可能な故障により蛍光抗体法に適した標本作成が困難な状況である。新たなミクロトームの購入は本科研費の予算内では不可能であり、標本作成については新たなアプローチが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度研究費で購入したハンドミクロトームによる標本作成を試みる。技術的には蛍光観察に耐え得る100ミクロン程度の水平断スライス標本は作成可能と考える。安定して標本作成が可能となれば、研究計画の条件での検討を蛍光抗体法により行い、詳細な解析が必要となった場合は改めてパラフィンスライス標本を用いた酵素抗体法による検討に取り組むこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
グリア研究は現在発展の途上にあり、研究推進のためには情報収集が欠かせない。従って次年度研究費の一部は学会参加費ならびに旅費に充てることとする。また蛍光抗体法による観察を確実に成功させるため、組織細胞化学会主催の技術講習会に参加することとし、一部を参加費および旅費に充当する。 ミクロトーム以外の必要機器類は概ね整っていると考えられ、研究遂行において主に必要となるのは試薬(抗体)ならびに動物購入費用である。また実験結果に新たな知見が得られれば直ちに学会発表、論文作成に着手するため、研究費をこれに充てる。
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