2012 Fiscal Year Research-status Report
歯の移動と骨改造現象におけるWntシグナルと副甲状腺ホルモンの相互作用の解明
Project/Area Number |
23593016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 和美 東京大学, 保健・健康推進本部, 講師 (10396715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 浩平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401361)
井口 隆人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80587775)
鄭 雄一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30345053)
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372390)
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Keywords | 歯科矯正学 / 骨改造現象 |
Research Abstract |
本研究の目的は、骨形成作用を持つPTHシグナルとその受容体に結合するβカテニンとの相互作用による骨代謝調節機構を解明し、歯科矯正治療におけるその役割を明らかにすることである。そのため、①骨芽細胞におけるPTH受容体へのβカテニンの結合の確認とその部位の同定、②βカテニンによるPTHシグナル伝達調整機構の解析、③変異体βカテニンおよび変異体PTH受容体による骨芽細胞の増殖・分化への影響の検討、④実験的歯の移動モデルを用いた、WntシグナルとPTHシグナルの相互作用に関する歯科矯正学的・分子生物学的評価、の4点を行う。 H24年度は、βカテニンによるPTHシグナル伝達調整機構の解析として、①恒常活性型βカテニンを作製後、その発現コンストラクトを基にアデノウィルスベクターを作成②恒常活性型βカテニンアデノウィルスを導入したMC3T3E1細胞およびC3H10T1/2細胞を用いてPTH刺激により活性化される細胞内サイクリックAMP(cAMP)およびカルシウム反応性を測定し、恒常活性型βカテニンによるPTHシグナルへの影響の検討し③βカテニン結合部位を欠損した変異型PTH受容体アデノウィルスを用いて各細胞に導入後、PTH刺激によるcAMPおよびカルシウム反応性を測定後、βカテニンがPTH受容体に結合しないことによるPTHシグナルへの影響についての検討を行った。 βカテニンの役割の詳細な解析のため、βカテニンfloxマウスを購入し、繁殖させ、骨芽細胞を採取し、Creアデノウイルスでβカテニンをノックアウトさせたプライマリー骨芽細胞の機能解析を行っている。さらに骨組織特異的Osx1-Cre::GFPマウスの交配も開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度より着手していた、βカテニンによるPTHシグナル伝達調整機構の解析を行った結果、PTH受容体C末10アミノ酸内に結合することがあきらかとなり、βカテニンとPTH受容体が結合することで、その下流のシグナルを調節していることが示唆された。H24年度当初より、βカテニンfloxマウスを用いた解析を開始し、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、主に動物実験を中心に進め、Osx1-Cre::GFPマウスとβカテニンfloxマウスを交配させたマウスの骨芽分化発生の異常の解析とさらに、実験的歯の移動モデルを用いて検討を行っていく予定である。具体的には、間歇的にPTHを投与することで、骨代謝回転の上昇・骨形成促進を誘導できることが広く知られているので、PTH間歇投与の効果を歯の移動度で検討する。さらに、圧迫側・牽引側について、骨形成の組織学的検討、TRAP染色による破骨細胞形成の検討を行う。さらに遺伝子・蛋白発現を検討するために、免疫組織化学・in situ hybridizationも行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物であるOsx1-Cre::GFPマウスとβカテニンfloxマウスの維持管理費、実験試薬・備品等の購入、研究用消耗品の購入、必要に応じてソフトウエアの購入、学術集会における情報の収集および研究成果の発表、論文の作成などに使用する予定である。
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