2012 Fiscal Year Research-status Report
永久歯萌出に関わる歯導帯・歯小嚢相互作用と歯胚萌出異常に伴う歯根吸収機構の解明
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23593022
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松本 芳郎 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20292980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 卓史 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221857)
金香 佐和 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (80372449)
細道 純 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00420258)
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Keywords | 歯根吸収 / 埋伏歯 / バイオインテグレーション |
Research Abstract |
生理的な永久歯萌出機構を明らかにすることを目的とし、代生歯萌出時における歯導帯周囲の硬組織構造の解析、および歯導帯周囲の細胞や歯小嚢細胞、乳歯歯根膜細胞に発現する因子を解析するために必要な文献検索ならびに実験モデルの構築を終え、本実験を継続している。家兎の実験モデルでは今のところ明確な歯導帯が認められておらず、新たな実験モデル構築と並行して、検索を続けている。また、歯の形成ならびに萌出に伴う上皮間葉相互作用を検討するため、in vitro でのウシ歯小嚢組織と歯根膜細胞または上皮系細胞との象牙片上での共存培養系を継続して活用している。さらに代生歯萌出異常機構を検討するため、in vivo での先行乳歯抜歯系、歯導帯破壊系、歯胚圧迫系の実験を継続して行っている。 関連研究の論文報告としては、新たに設計した矯正歯科用オンプラントのバイオインテグレーション(生物学的骨結合)のための外科的埋入方法の開発について共同執筆し、学術雑誌に掲載された。本手技は、埋伏歯の開窓・牽引の際の矯正歯科治療にも有用になる可能性がある。また、咬合機能低下ラットの歯周組織の萎縮とVEGF/VEGFレセプターによる歯の移動の抑制に関する論文が掲載され、咬合機能低下歯の移動の際にVEGF/VEGFレセプターにより歯の移動が抑制することを初めて明らかにした。さらに、軟食飼育のラット海綿骨に及ぼす影響に関する論文が受理され、上顎骨に比べ下顎骨内部の海綿骨により大きな形態変化が生じることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
家兎における生理的な永久歯萌出機構の一部の検討で想定外の結果が生じたため、若干の遅延が生じたが、その他の生理的な永久歯萌出機構の検討、共存培養実験系での検討、代生歯萌出異常機構の検討では概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に使用する助成金は、関連研究の国内発表を行ったが、旅費の請求手続きをできなかったこと、海外発表を行えなかったこと、想定外の状況による研究活動遅延のためなどで生じた。今年度は、当該研究費と次年度に請求する研究費により、次の検討を行う方策である。生理的な永久歯萌出機構を検討するため、代生歯萌出時における歯導帯周囲の硬組織構造の解析を継続する。また、歯導帯周囲の細胞や歯小嚢細胞、乳歯歯根膜細胞に発現する因子を解析するため、必要な文献検索ならびに実験モデルの構築を継続し、in situ hybridization 法および免疫組織化学的手法等による調節因子の局在も継続して行う。さらに、歯の形成ならびに萌出に伴う上皮間葉相互作用を検討するため、in vitro でのウシ歯小嚢組織と歯根膜細胞または上皮系細胞との象牙片上での共存培養系を開発し、硬組織吸収活性、各種因子の発現や分布を引き続き検討する。また、代生歯萌出異常機構を検討するため、in vivo での先行乳歯抜歯実験系、歯導帯破壊実験系、歯胚圧迫実験系を開発し、代生歯萌出異常発現機構に関し、硬組織構造を形態学的に、周囲細胞に発現する因子を網羅的に継続して解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)生理的な永久歯萌出機構の検討(松本、小野担当):各種消耗品、実験動物・試薬・器具等を用い、代生歯萌出時における歯導帯周囲の細胞や歯小嚢細胞、乳歯歯根膜細胞に発現する因子をマイクロアレイ法等による網羅的解析を継続し、in situ hybridization 法もしく免疫組織化学的手法等により調節因子の局在を引き続き検討する。 2)共存培養実験系での検討(松本、細道担当):各種消耗品、実験動物・試薬・器具等を用い、in vitro でのウシ歯小嚢組織と歯根膜細胞または上皮系細胞との象牙片上での共存培養系において、硬組織吸収活性、各種因子の発現や分布を引き続き検討する。 3)代生歯萌出異常機構の検討(松本、小野担当):in vivo での先行乳歯抜歯実験系、歯導帯破壊実験系、歯胚圧迫実験系等を用いて、代生歯萌出異常発現機構に関し、硬組織構造を形態学的に、周囲細胞に発現する因子を網羅的に解析する。 4)旅費・謝金等を用い、本研究結果に関する学会発表と論文報告を行う。
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