2012 Fiscal Year Research-status Report
歯胚移植術を用いた歯髄形成過程における歯髄幹細胞とWntシグナルの役割の解明
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23593026
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 邦子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 勇人 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
佐野 富子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40323977)
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Keywords | 歯髄幹細胞 / BrdU / 歯胚移植 / 象牙質形成 / アポトーシス / GFPマウス / 象牙芽細胞 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
萌出歯と未萌出歯を比較すると歯髄細胞の骨・象牙質形成能に差があることが報告されており、生後に歯髄構成細胞が変化することが示唆されている。平成24年度では、我々が確立したマウスを用いた歯胚他家移植実験系を利用して、詳細な歯髄構成細胞集団の変化を検索した。 平成23年度と同様に胎生期ラベリング法(Cell Tissue Res 348: 95-107, 2012)を実施し、生後1~2日齢のラベルB6マウス下顎第一臼歯の歯胚を、歯根形成期の生後2週齢の非ラベルB6マウス上顎第一臼歯部抜歯窩へと移植し、3日~3週間後にラベル細胞(LRCs)、増殖細胞、アポトーシス細胞の動態を検索し、詳細な統計解析を行った。さらに、GFPトランスジェニックマウスをドナーまたはホストとして歯胚移植実験を行った。 LRCsは歯髄中央部血管周囲に維持されており、実験期間中を通して濃く染まるdense LRCsの数は単位面積(16.5×103m2)あたり1.7~3.3個であるのに対し、顆粒状のgranular LRCsは3日後に単位面積あたり平均35.3個で5日後に有意に減少した(平均19.6個)。増殖細胞は3日後に単位面積あたり平均19.6個であったものが5日後に有意に減少した(平均10.5個)。アポトーシス細胞は実験期間を通して観察された(単位面積あたり0.4~4.2個)が、術後の数の変化に有意差はなかった。一方、ドナー細胞は象牙芽細胞含む歯髄細胞や血管細胞(主に静脈)に維持されていたが、血管細胞(主に動脈)を含むホスト細胞が術後に歯髄内に侵入することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実験計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは移植歯胚における歯髄構成細胞の変化を検索してきたが、平成25年度は歯周組織形成過程における歯根膜構成細胞集団の変化を検索していく予定である。また、Wntシグナルレポーター(TOP-GAL)マウスを用いた再植歯・移植歯におけるWntシグナルの解析を開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
胎生期ラベリング法(Cell Tissue Res 348: 95-107, 2012)を実施し、非対称分裂をする幹細胞/前駆細胞をラベルし、深麻酔下で生後1~2日齢のラベルB6マウス下顎第一臼歯の歯胚を、歯根形成期の生後2週齢の非ラベルB6マウス上顎第一臼歯部抜歯窩へと移植し、3日~3週間後にアルデヒド系固定液で灌流固定し、EDTA脱灰後、パラフィン切片を作製し、抗ペリオスチン、抗オステオポンチン、抗BrdU、抗Ki67抗体を用いた免疫染色、TUNEL染色を施し、歯周組織形成過程における歯根膜構成細胞集団の変化を光顕で観察する。 さらに、Wntシグナルレポーター(TOP-GAL)マウスを用いた再植・移植実験を実施し、歯髄におけるWntシグナルの変化を解析する。
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Research Products
(2 results)