2011 Fiscal Year Research-status Report
食道感覚が覚醒時ブラキシズムを惹起する時の脳内活性部位の特定とその発現機序の解明
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23593034
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永山 邦宏 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00404484)
末永 重明 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00136889)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ブラキシズム / ストレス / fMRI / 脳 |
Research Abstract |
健常者に対し、計算課題によるストレス負荷を加えた時と胃食道内へ酸を注入した時の咬筋の筋電図測定を行い、咳や嚥下等を除いた両側咬筋の非機能時筋活動量が増加することを明らかにした。また、fMRIを用いて、健常者数名に対し、ストレス負荷を経時的に加えた時の脳賦活部位を調べた。脳賦活部位の解析は、計算解析ソフトウェアであるMATLABと、脳解析ソフトウェアであるMRIcroとStatical Parametric Mapping 8を使用した。計算開始時は、視覚に関連する視覚野と、前頭極や角回等の計算に関連する部位、背外側前頭前野や前帯状皮質、海馬等の情動に関連する部位が賦活していた。計算5分間後は、それらの賦活部位に加え、不快情動の発生に関連する扁桃体と、下顎の運動に関連するとされるSensory motor cortex(SMC)等が賦活していた。ストレスが経時的に加えられたことにより、不快情動が生じると、下顎運動の出力部位と考えられているSMCが賦活し、覚醒時ブラキシズムが発現することが示唆された。 今後は、さらに健常者を対象とした被験者を増やすと共に、覚醒時ブラキシズム患者を対象とし、同様に計算課題によるストレス負荷を加えた時の脳賦活部位を調べ、今回明らかになりつつある健常者の脳賦活部位と比較することで、覚醒時ブラキシズムの発現メカニズムがより明らかになると考えられる。また、先行研究で明らかにした覚醒時ブラキシズムと胃食道逆流の関連についても、脳賦活部位の点から同時に検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していたストレス負荷や胃食道内への酸注入による覚醒時ブラキシズムの発現の検討を遂行した。覚醒時ブラキシズム患者を被験者としたデータ採得はやや遅れているが、MRI画像データ解析に必要なソフトウェアの構築や、健常者数名を対象としたストレスを与えた時のfMRI撮像と脳賦活部位の解析は、完了しているため、研究計画に沿っておおむね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレス負荷や胃食道内への酸刺激による覚醒時ブラキシズムの発現の検討は本年度遂行し、予想していた結果を得た。また、脳のMRIデータから賦活部位を解析するシステムは構築済みであるため、今後は研究協力施設において早急に健常者や覚醒時ブラキシズム患者を対象としたMRI撮像を行い、計画に沿って研究を行っていく予定である。 また、食道内への酸注入時にMRI撮像を行う予定としているが、嚥下による体動によりMRIデータが正確に採得できない可能性がある。これは、MRI撮像回数や撮像時間を短くし、できるだけ体動や嚥下によるデータの乱れを排除し、データ採得を推進させ、脳機能を介した覚醒時ブラキシズムと食道内酸刺激やストレス負荷との関連を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳のMRI撮像により得たDICOMデータから、賦活部位を標準脳テンプレートにカラーマッピングする際に必要なソフトウェアの購入とシステムの組み立てに時間を要し、覚醒時ブラキシズム患者を被験者としたデータの採得が予定よりもやや遅れたため、その分の研究補助費等を次年度に使用する予定とした。 ストレス負荷や胃食道内への酸刺激による覚醒時ブラキシズムの発現の検討は本年度遂行し、次に予定している脳のMRI撮像と賦活部位の解析の準備は整えたため、次年度は本年度から繰り越した分を含めた研究費を使用し、被験者の咀嚼筋の筋電図採得やMRI撮像を早急に開始する。筋電図測定やMRI撮像にあたり、被験者の研究補助費やMRI施設使用料等を研究費として使用する予定である。 筋電図測定に関しては、使用する電極と電極ケーブルは再生不可能な消耗品であるため、研究費内の消耗品の項目として使用する。 また、データ採得と解析を遂行すると同時に、脳機能を介した覚醒時ブラキシズムと食道内酸刺激やストレス負荷との関連を検討していき、新たな知見が得られた時点で関連学会での研究成果発表を予定している。その際、旅費として計上している研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)