2012 Fiscal Year Research-status Report
食道粘膜刺激によるブラキシズム誘発機構の神経生理学的解明と治療法の開発
Project/Area Number |
23593035
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上村 裕希 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50464467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
八木 孝和 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10346166)
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00404484)
友成 博 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70398288)
吉田 礼子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60244258)
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Keywords | ブラキシズム / 胃食道酸逆流 / ラット |
Research Abstract |
本研究の概要として、胃酸内容物逆流刺激動物モデルラットを作製後、食道下部へ酸・ペプシン混合液、生理食塩水を注入し、咬筋活動を計測し、酸・ペプシン注入群と生理食塩水群、sham群において咬筋筋活動の頻度と持続時間を比較検討することとした。さらに、3郡における食道粘膜でTRPV1などの侵害受容器やASIC3などの酸受容器の発現亢進を遺伝子レベルで評価することした。 睡眠時ブラキシズムの発現機構は未だ解明されていないが、食道への胃内容物逆流がブラキシズムを誘発されることが疑われており、ヒトを対象とした介入研究においては食道下部への酸注入により睡眠時ブラキシズムが惹起されることが示唆された。この機構を明らかにするためには、食道粘膜への化学物質刺激時に誘発されるブラキシズムについて神経生理学的に明らかにする必要があると考えられる。この発現機構が明らかになればブラキシズムの根本療法の確立につながるだけでなく、ブラキシズムと関連する二次的な疾患の予防に繋がる。 前年度では、胃酸内容物逆流刺激動物モデルラットを作製し、食道下部へ酸・ペプシンによる刺激を与え、咬筋筋活動を記録した。刺激初日では暗期・明期ともに生理食塩水群やsham群と比較して酸・ペプシン刺激群で咬筋筋活動が高頻度・長時間認められた。2日目の明期では3群で差はなかったが、暗期では、酸・ペプシン刺激群のほうが生理食塩水群と比較して、咬筋筋活動が有意に高頻度・長時間認められた。 今年度は、3郡における食道粘膜でTRPV1などの侵害受容器やASIC3などの酸受容器の発現亢進を遺伝子レベルで評価を行い、酸・ペプシン刺激群では生理食塩水群やsham群に比べてTRPV1、PAR2、ASIC3、TACRが多く発現されたことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食道刺激ブラキシズムモデルラットの作製について、ラットへの麻酔後0.1mmのカテーテルを鼻腔から注入し、下部括約筋へ到達させ、同ラットへブラキシズム様運動同定の頭頂部のマイクロコネクターにろう着したステンレス線の咬筋への設置を行う。なおラットは行動観察BOX内を自由に動けることができる状態を保つ。このモデルラットを作製後、酸・ペプシン、生理食塩水を食道下部括約筋部へ注入し、咬筋活動を記録してそれぞれ比較した。その後、神経逆行性トレーサーを注入し、食道におけるFosタンパクの検討を予定していたが、神経逆行性トレーサーの注入を実施していない状況である。また、脳地図作製目的に、脳切片のHE染色を実施するも、組織切片がはがれてきれいに染まらなかった。神経逆行性トレーサー、脳切片については我々の研究室では手法が確立していなかったため、実験の遂行が困難な状況であった。食道粘膜上での侵害受容器や酸受容体などの発現亢進を遺伝子レベルで評価するため、3群の食道粘膜についてリアルタイムPCR法を行ったところ、酸・ペプシン刺激群では生理食塩水群やsham群に比べてTRPV1、PAR2、ASIC3、TACRが多く発現されたことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、3群のラット食道粘膜の侵害受容器や酸受容体などの発現亢進をリアルタイムPCR法を用いて遺伝子レベルで比較検討し、統計解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物個体、実験器具など動物実験、またリアルタイムPCR法に使用するプライマーなどの消耗品に使用する。
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