2012 Fiscal Year Research-status Report
独創的な手法を用いたヒトiPS細胞由来の歯形成細胞群の濃縮法の樹立
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23593038
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
長谷川 大子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00295271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 教授 (30287099)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
山崎 要一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30200645)
早崎 治明 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60238095)
野口 洋文 岡山大学, 医学部, 研究員 (50378733)
齊藤 陽子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30404487)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30448568)
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Keywords | iPS 細胞 / ameloblast / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
iPS細胞は自家移植が可能であり、様々なタイプの分化細胞を生み出すことができるため、欠損した細胞、組織を修復する有力な手段として再生医療への応用が大いに期待されている。残念ながら、神経系や造血系の場合と異なり、歯学領域ではiPS細胞由来の歯関連細胞への明確な分化誘導法は、まだ確立されていない。 本研究では、同じタイプの細胞は集合し合い(凝集塊を形成)、ある種の構造を持つ組織体を構築するという、発生生物学的原理を応用し、iPS細胞をヌードマウス皮下に移植して得られた奇形腫(様々な分化細胞から成る)から、独創的なin vitro 組織再構成法を用いて、歯幹細胞、ameloblast、odontoblastなどの歯関連細胞群のみを選択的に濃縮し、最終的に歯関連細胞株として樹立することを目的とする。更に、樹立された細胞群は親株であるiPS細胞が持つ癌化(奇形腫形成)の特性を失っていることを示す。 具体的には、まず、①歯関連細胞に特異的に蛍光タンパクを発現するプラスミドを構築する。次いで、②乳歯歯髄細胞由来ヒトiPS 細胞へこれらプラスミドをエレクトロポレーション法(Invitrogen社のNeon® Transfection System)にて遺伝子導入する。その後、neomycinアナログであるG418, blasticidine Sの2重選択用薬剤で細胞を選別することにより、生存する組換えiPSコロニーを拾い、拡大しながら、一方では凍結保存する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、上記2つのプラスミドを構築した。最初、これらプラスミドを乳歯歯髄細胞から得たiPS細胞に同時導入しようと試みたが、導入効率が極端に低いせいか、2種の薬剤(G418, blasticidine S)による選別後、薬剤耐性コロニーは得られなかった。そこで、哺乳類細胞での遺伝子導入の効率が非常に高いとされるトランスポゾンの一種PiggyBac(PB)の系を適用することとした。そのため、PB transposaseが認識し、特異的に結合するPB acceptorの間に上記プラスミド内の発現ユニットを挿入した、いわゆるPBベクター(pTA-ARIPN及びpTA-DEIHB)を作成した。この2つのベクターとPB transposase発現ベクターとをiPS細胞にco-transfectionさせた。その結果、幾つかの薬剤耐性コロニーを得た。現在、このコロニー由来の細胞が、導入されたpTA-ARIPN及びpTA-DEIHBを保有しているか、分子生物学的手法を用いて確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた組換えヒト iPS 細胞をヌードマウス皮下あるいは精巣内へ注入し、奇形腫を形成させる。先行的に、iPS 細胞単体、あるいは、iPS 細胞とマウス胎仔口腔近傍の細胞の混合物を移植し、奇形腫形成の有無、歯関連細胞形成の有無を調べる実験を行っている。 奇形腫内にいかに多くの歯関連細胞を誘導できるかは、移植前のヒトiPS細胞の前処置が決め手となる。組換えヒト iPS細胞をbFGF 不在下懸濁培養し、いくつかの初期分化細胞が存在する胚様体を移植する群(実験-1群)、組換えヒトiPS細胞と妊娠後期(Day 15-18)のマウス胎仔口腔近傍の細胞の混合物を移植する群(実験-2群)、組換えヒト iPS 細胞と組換えBMP や組換えGDF11 の混合物を移植する群(実験-3群)、組換えヒトiPS細胞をそのまま移植する群(対照群)で検討する。 その中から、歯形成が顕著であったと判明された奇形腫を選び、これを初代培養系に付す。培養系に ameloblast や odontoblast が存在している場合、AM promoterからpuromycin耐性遺伝子が、Dspp promoterからhygromycin B耐性遺伝子が発現されるため、初代培養細胞はpuromycin あるいはhygromycin B耐性を示し、また、ameloblast は赤蛍光を、 odontoblast は緑蛍光を示すと予想される。 それらの細胞を限界希釈法でcloning する。ameloblastと odontoblast の細胞株について、ameloblast 株は内在性の ameloblastin/amelogenin mRNAを発現していること、odontoblast 株は Dspp mRNA を発現していることを RT-PCR 法で調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費使用計画は以下の通りである。 物品費:細胞培養試薬、分子生物学用試薬などの消耗品 旅費:日本小児歯科学会、新潟大学への研究打ち合わせ 謝金:研究補助の謝金 その他、学会参加費を計上した。
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[Presentation] 小児の口呼吸における関連因子の抽出と口唇閉鎖力との関連性についての先行研究2012
Author(s)
村上 大輔,稲田 絵美, 齊藤 一誠, 海原 康孝, 奥 猛志, 岩崎 智憲, 長谷川 大子, 深水 篤, 佐藤 秀夫, 武元 嘉彦, 窪田 直子, 伊藤 千晶, 乃村 俊樹, 田中 みゆき, 井形 紀子, 香西 克之, 山崎 要一
Organizer
第50回 日本小児歯科学会
Place of Presentation
東京
Year and Date
20120511-20120513
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