2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔内感染度からみたビスフォスフォネート系製剤関連顎骨壊死の予防システムの構築
Project/Area Number |
23593058
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
畑中 加珠 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50362992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柴 正悟 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50226768)
山本 直史 岡山大学, 大学病院, 講師 (50432662)
山城 圭介 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30581087)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 感染 / 顎骨壊死 |
Research Abstract |
癌の骨転移などの治療に使用されるビスフォスフォネート系製剤(BP)の投与を受けている患者において、侵襲的歯科治療を受けた後に顎骨壊死(BROMJ)が発生するという事例が相次いでいる。その発生のリスクファクターとして、口腔衛生状態の不良や歯周病や歯周膿瘍などの炎症疾患の既往が言われている。 本研究は、岡山大学病院腫瘍センターを受診した患者を対象に面談を行い、BP投与の有無、歯科受診状況および口腔内のトラブル(BRONJ、口腔粘膜病変など)の実態を調査した。平成22年度1年間で、792件(704人)の面談数であったのに対し、平成23年度は、1194件(897人)と増加した。うちBP投与患者は672件(505人)で、他の化学療法患者が526件(392人)であった。BRONJ発生は、平成22年度に4名、平成23年度に新たに2名見つかり、当院口腔外科にてフォローしている。この実態を当病院内のカンファレンスで発表し、医科系の関連職種の人に情報提供をしている。また、衛生士の学会で発表し、医歯看連携の新しい取り組みとして注目を浴びている。 また、同院歯周科を紹介受診したBP投与患者を対象に口腔内診査を行い、プラークコントロール状態、歯周ポケット、歯肉の炎症、動揺などの基本的な歯周組織検査、レントゲン検査およびBRONJ、口腔粘膜病変の発症の有無を調べた。細菌検査、感染度検査を行った。そして、歯科治療および口腔衛生管理を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
岡山大学病院腫瘍センターを受診した患者の面談は確実に行えており、実態の把握はできている。しかしながら、同院歯周科を紹介受診したBP投与患者の口腔内診査および検査は行っているものの、その解析が遅れており、歯周炎の程度や各種検査結果とBRONJおよび口腔粘膜病変の発症の関連性に関しては不明である。また、積極的歯科治療が充分に行えないという理由から、治療後の位置付けが難しく、治療前後の比較ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、これまでの患者臨床データを蓄積し、統計解析のためのサンプルサイズを増やす。血清IgG抗体価レベルによるBRONJ発症の有無について検討し、カットオフ値を設定する。 岡山大学病院腫瘍センターを受診する患者の末梢血を用いて血清IgG抗体価を測定し、検討されたカットオフ値を参考に、BRONJ発症のスクリーニングを行う。内科受診時に採取した血液の余りを譲渡してもらえるように、検査部への依頼および倫理委員会への申請をする必要がある。 随時、腫瘍センターのミーティングおよび歯周病態学分野の医局会等で報告し、該当する医科の診療科との連携体制を見直しながら進めていく。そして、医科の診療科との連携システムの整備にも働きがけていく。 研究の成果を、学術集会において広く公表する。また、英文誌あるいは和文誌にも投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの患者臨床データおよび検査データを整理し、統計解析を行う。並行して、サンプルサイズを増やす。特に、血清IgG抗体価レベルによる層別化を行って、BROMJおよび口腔粘膜病変の発症の関連性について検討する。 岡山大学病院腫瘍センターを受診する患者が内科受診時に採取した血液の余りを譲渡してもらえるように、検査部への依頼および倫理委員会への申請を行う。その末梢血を用いて血清IgG抗体価を測定する。 随時、腫瘍センターのミーティングおよび歯周病態学分野の医局会等で報告し、該当する医科の診療科との連携体制を見直しながら進めていく。学術集会においても公表する。
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