2011 Fiscal Year Research-status Report
血清アミロイドAを介した歯周病による動脈硬化症の発症診断
Project/Area Number |
23593074
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70243582)
西田 英作 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (10512519)
武藤 昭紀 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (50549433)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Periodontal Medicine / Cardiovascular disease / Periodontal disease / Serum Amyloid A / Interleukin-6 |
Research Abstract |
動脈硬化症に対するSAAの作用機序,影響程度を解明し,SAAを指標とした新たな診断,治療基準の確立を目指す本研究において,平成23年度は,実験動物を繁殖,疾患モデルを確立,試料分析までを行う予定で,研究を行った.概略としては歯周病疾患モデルとして,実験動物にApoE(-/-)マウスを用いて,口腔内よりIL-6を注入し,経時的に組織を摘出,動脈硬化病変の広がりを画像解析により計測し,病変部のSAAレセプターを免疫組織染色にて検出した. 詳細は以下のようである. 動脈硬化発症歯周炎モデルの作成は,当施設で繁殖,継代させた生後12週齢のApoE(-/-)マウス40匹を確保した.動物を20匹ずつPBS注入群,IL-6注入群の2群に分け,PBS注入群にはPBSを,IL-6注入群には,500ng IL-6,10μlを30Gのディスポーザブルシリンジを用いて,上顎前歯部の口蓋歯周組織に注入した.注入は連続して3日間行った.試料の保存は,マウスの投与終了後,1日,3日,1,2週で各群5匹ずつ安楽死させ,大動脈を摘出し,3匹は液体窒素にて瞬間凍結後,-80℃フリーザーにて保存,2匹は固定液中で組織用試料とした.また,眼窩静脈叢より血液を採取し,4℃で一晩放置後,血清を遠心分離機により分離し-80℃で保存した.血中SAA蛋白量の測定は,ELISA法にて採取した血清中のSAA量を測定した.動脈硬化症の発症,進行の検索は,大動脈の内腔を開いてOil red-O染色にて動脈硬化病巣面積比率を求めた.初期動脈硬化病変部におけるSAAレセプター(CD36)の検出は,摘出した大動脈試料より病変部を摘出し,薄切後,大動脈弓の横断切片にCD36の免疫組織染色を行い,SAAの局在を検索した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物の確保,血中SAA蛋白量の測定(ELISA法),Oil red-O染色にて動脈硬化病巣面積比率,初期動脈硬化病変部におけるSAAレセプター(CD36)の検出に関しては順調に研究は進行しているが,口腔内よりIL-6を注入する際に口蓋側から漏れてしまうケースが頻発しており,注射針,注射筒を変更して現在,その程度を確認中である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度:大動脈血管内皮細胞を培養,単球接着と遊走分子発現を検討する. 大動脈血管内皮細胞の採取は,ApoE(-/-)マウスの生後12週マウス3匹から大動脈を採取,コラゲナーゼ処理により血管内皮細胞を摘出する.ApoE-/- Mouse Arotic Endotherial Cellsの作成は,タイプIコラーゲンコートのディッシュに細胞を播種,専用培地にて1週間培養する.SAAリコンビナントタンパクによる刺激は,コンフルエントに達した細胞を無血清培地に交換し,SAAを2.5ug/ml濃度で添加し, 24時間培養を行う.SAA刺激による単球接着因子と遊走因子発現の上昇確認は,細胞からRNAを抽出,cDNAに変換し,Real-time PCR法にてICAM-1,VCAM-1,MCP-1発現を検討する.また,同時にICAM-1,VCAM-1,MCP-1タンパクの存在をWestern blot法を用いて確認する. 平成25年度:実験から得られた試料を分析,データをまとめて学会発表,論文作成を行う.すなわち,動脈硬化病変程度が,血中SAAタンパク量およびSAAレセプター発現量と関係しているか否かは,動脈硬化程度を従属変数にして,血中SAAタンパク量,SAAレセプター発現量,およびマウス観察期間を独立変数にして多変量線形重回帰分析を行う. 多変量線形重回帰分析で関係が証明されれば,動脈硬化の程度を2群に分けて,これを従属変数とし,血中SAAタンパク量およびSAAレセプター発現量を各々独立変数にしてROC解析を行い,動脈硬化程度の予測可能程度を検討する. 本研究を遂行することにより,動脈硬化発症機序の解明,SAAを診断マーカーとした動脈硬化症発症に対する新規治療法が確定される.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には,大動脈血管内皮細胞を培養,単球接着と遊走分子発現を検討するため,実験動物,飼料以外に細胞培養用試薬,器具を購入する.またreal-time PCR用のプライマー,ELISAキットの購入が必要となる.さらに,研究中間報告として国内,海外で学会発表する予定であり,旅費も申請する.
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