2012 Fiscal Year Research-status Report
血清アミロイドAを介した歯周病による動脈硬化症の発症診断
Project/Area Number |
23593074
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70243582)
西田 英作 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤助教 (10512519)
武藤 昭紀 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (50549433)
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Keywords | Periodontal Medicine / Cardiovascular disease / Periodontal disease / Serum Amyloid A / Interleukin-6 |
Research Abstract |
動脈硬化症に対するSAAの作用機序,影響程度を解明し,SAAを指標とした新たな診断,治療基準の確立を目指す本研究において,平成24年度は,大動脈血管内皮細胞を培養,単球接着と遊走分子発現を検討する予定で,研究を行った.概略としてはApoE(-/-)マウスから摘出培養した血管内皮細胞にSAAリコンビナントタンパクを添加し,動脈硬化初期病変にて血管内皮細胞に発現する単球(将来,泡沫細胞となる)の接着因子および遊走因子増強に関わる遺伝子発現をReal-time PCR法にて確認した. 詳細は以下のようである. ⑴大動脈血管内皮細胞の採取:ApoE(-/-)マウスの生後12週より動脈硬化が自然発症するため,同週齢のマウス3匹から大動脈を採取,コラゲナーゼ処理により血管内皮細胞を摘出した.なお,エストロゲンの存在は動脈硬化症を減少させるため,雄性マウスを使用した. ⑵ApoE-/- Mouse Arotic Endotherial Cells(MAEC)の作成:タイプIコラーゲンコートのディッシュに細胞を播種,専用培地にて1週間培養した細胞をApoE-/-MAECとした. ⑶SAAリコンビナントタンパクによる刺激:コンフルエントに達したApoE-/-MAECを無血清培地に交換し,mouse recombinant SAA(R&D社)を2.5ug/ml濃度で添加し,24時間培養した. ⑷SAA刺激による単球接着因子と遊走因子発現の上昇確認:⑶の細胞からRNAを抽出,cDNAに変換し,Real-time PCR法にてICAM-1,VCAM-1,MCP-1発現を検討した.また,同時にICAM-1,VCAM-1,MCP-1タンパクの存在をWestern blot法を用いて確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年より遅れていた口腔内よりIL-6を注入する際に口蓋側から漏れてしまうケースが頻発したことから,注射針,注射筒を変更,さらには投与部位を下顎に変更したため,in vivo実験が延びて,ApoE-/- Mouse Arotic Endotherial Cells(MAEC)の作成が終了していないが,研究経過は順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度:実験から得られた試料を分析,データをまとめて学会発表,論文作成を行う. ⑴動脈硬化病変程度と血中SAA蛋白量,SAAレセプター発現程度との相関:動脈硬化病変程度が,血中SAAタンパク量およびSAAレセプター発現量と関係しているか否かは,動脈硬化程度を従属変数にして,血中SAAタンパク量,SAAレセプター発現量,およびマウス観察期間を独立変数にして多変量線形重回帰分析を行う. 多変量線形重回帰分析で関係が証明されれば,動脈硬化の程度を2群に分けて,これを従属変数とし,血中SAAタンパク量およびSAAレセプター発現量を各々独立変数にしてROC解析を行い,動脈硬化程度の予測可能程度を検討する. 本研究を遂行することにより,動脈硬化発症機序の解明,SAAを診断マーカーとした動脈硬化症発症に対する新規治療法が確定される.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には,動脈硬化病変程度とSAAとの相関を解析するために,統計解析用ソフトを購入,解析する.研究のまとめとして日本歯周病学会とIADR学会(Cape Town, South Africa)で成果発表する予定で,それぞれ国内旅費,海外旅費を使用する.さらに,研究の集大成として,英文雑誌(Atherosclerosis誌)への投稿費用を使用する.
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