2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593081
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
兼平 孝 北海道大学, 大学病院, 講師 (90194935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
竹原 順次 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60216934)
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Keywords | 口臭 / オーラルクロマ / 硫化水素 / メチルメルカプタン / 口腔乾燥症 / 唾液 / 簡易測定キット |
Research Abstract |
【目的】多くの者にとって、自分の口臭は体臭同様、わかりにくい。口臭の原因は、口腔内に揮発性硫黄化合物(VSC)などの様々な悪臭物質が発生、滞留するためで、中でも舌苔がVSC産生の中心部位となると考えられている。本研究では、VSCの主成分である硫化水素に対する特異的な呈色反応(Fisher`s Coupling Reaction)を利用し、個人が独自に自分の口臭の有無を確認できるキットを開発することを目的とした。 【材料・方法】1)基礎研究:硫化水素の保持器具は綿棒(綿棒部4.7×15 mm)に硫酸亜鉛溶液を浸透、乾燥させて作製した。各濃度の硫化水素(硫化ソーダ)を含有した唾液を同綿棒に吸収させ、発色試薬と固定液を滴下して発色(青色)させた。次に分光色差計にて、綿棒の発色量を定量した。2)臨床研究:北海道大学病院口臭外来受診者を被験者とし、被験者の舌背部を同綿棒で10回擦過し、舌苔中の硫化水素を吸収させた後、口腔外で同様に綿棒の発色量を定量した。また、同時に口臭測定器(オーラルクロマ)によって測定した口臭値(VSC:硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルファイド)との関連を調べた。 【結果・考察】1)基礎研究:唾液中に混合した硫化水素の濃度に比例して、発色量も増加することが明らかとなった。2)応用研究:被験者の舌苔を擦過して発色させた場合においても硫化水素濃度(r = 0.74) およびメチルメルカプタン濃度(r =0.58)と綿棒の発色量との間に有意な相関(p<0.05)が認められたが、ジメチルスルファイドの間には相関は認められなかった。 3)被験者によっては、オーラルクロマで測定した硫化水素量が高くとも綿棒の発色量が低い者がおり、舌上の水分とタンパク質が綿棒の発色に影響を及ぼしていることが示唆されたが、詳細はまだ不明である。その解明と発色量の増感が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は80数名の被験者の協力が得られ、有意なデータを得ることができた。その成果を国内の学会で発表するとともに、国外の専門誌に投稿し、掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度もさらに50名程度の被験者において、口臭値と発色の関係、特に発色に影響を与える因子について調べる予定である。得られた研究成果を国内外の学会で発表すると共に、論文として専門誌に投稿する。また、商品化するための特許取得、企業との提携を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度は研究の遂行に必要な消耗品(試薬や器具など)、学会参加のための旅費、さらに投稿する英語論文の校正に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)