2011 Fiscal Year Research-status Report
高次脳機能障害患者を支える主介護者の退院時指導プログラムの構築
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23593216
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高山 望 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (50451399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 裕子 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (40336409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 |
Research Abstract |
1.目的:在宅高次脳機能障害患者の主介護者に対して調査を行い、介護負担感の実態を明らかにする。また、得られた結果を基に有識者で検討し、4つの障害因子「注意障害」「記憶障害」「遂行機能障害」「行動と感情障害」に対する生活支援プログラム案を作成し、介入研究を行う。2.これまでの成果:対象はA病院リハビリ科で高次脳機能障害と診断された患者の主介護者135名。結果は、有効回答数は79名(58.5%)であった。主介護者の平均年齢は47.5±14.9歳、男性81.0%、女性19.0%であった。受傷時から診断までの平均年数は5.0±8.9年であった。Zarit介護負担尺度の平均は40.2±56.2点(88点満点)でばらつきがみられた。各4つの障害と介護負担尺度についてχ2検定を行った結果、其々がp=0.00で、「高次脳機能障害生活表」による全ての障害の重症度が負担感につながっていた。また、高次脳機能障害の組み合わせ別にみると、「記憶障害」のみ25.3%で負担感17.6±11.5点、「記憶障害+注意障害」3.8%で負担感36.7±18.9点、「記憶障害+注意障害+遂行機能障害」8.9%で負担感38.1±17.1点、「記憶障害+注意障害+行動と情緒の障害」6.3%で負担感35.6±26.9点、「記憶障害+注意障害+遂行機能障害+行動と情緒の障害」15.2%で負担感48.3±24.9点であった。高次脳機能障害別に見た負担感は、単独の記憶障害と比較して、各障害との組み合わせが増える毎に、負担感の平均点が2倍以上となり、負担を感じていた。3.今後の課題:調査施設を増やしてデータ分析を進める。また、Zarit介護負担尺度による介護負担度が高い集団に対してインタビュー調査を行い、介護負担の中核概念を明らかにし、生活支援プログラム案を検討する。その後、介入研究のパイロットスタディを実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査施設として、2施設を予定していた。1施設(北海道大学病院:北海道)におけるアンケート調査は実施できたが、別の施設(国立障害者リハビリテーションセンター病院:埼玉県)のアンケート調査が実施できていない。現在のところ、昨年10月に倫理審査委員会に申請して条件付き許可をいただいたが、看護部との調整に約6ヶ月間以上の時間を要している状態である。そのため、国立障害者リハビリテーションセンター病院以外の調査施設を検討している。現在、調査施設の候補として、聖隷福祉事業団聖隷三方原病院、聖隷浜松リハビリテーション病院(静岡県)への調査依頼を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.調査施設を拡大すること。今年度7月11日聖隷クリストファー大学大学院による倫理委員会への申請と同時に、聖隷三方原病院の倫理委員会への申請を行い、8~9月に調査を実施する予定2.「介護負担」の概念分析を行い、文献統合する3.Zarit介護負担尺度の高い高次脳機能障害患者の主介護者を対象に、エピソードインタビューを実施し、質的帰納的研究を行い、介護負担の中核概念を引き出す4.脳神経看護を専門とした研究者による集団で、高次脳機能障害患者とその主介護者に対する生活支援プログラム案を作成、精製、協議する5.介入プログラムを実施できるフィールドを検討し、研究協力体制を整える
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究調査施設である「国立障害者リハビリテーション病院の倫理審査委員会の申請に6ヶ月間、看護部との実施調整に6ヶ月間、合計約1年を要しており、H23年度研究計画の調査費用が執行することができず、285,154円が発生した。平成24年度では、調査施設として別施設を開拓し、アンケート、インタビュー調査を実施する予定である。調査施設への交通費3往復70,000円×3回、アンケート印刷費、郵送代48,000円、謝金27,000円、合計285,000円を執行する予定である。平成24年度研究費 直接費用300,000円、間接費用90,000円内訳:主任研究者270,000円(内訳:物品費0円、旅費140,000円、謝金70,000円、その他60,000円)、研究分担者30,000円(内訳:物品費0円、旅費30,000円、謝金0円、その他0円)研究調査施設の開拓や調査のため、交通費の支出が多くなる。また、アンケート実施のための印刷費、郵送費が必要である。さらに、インタビュー調査に協力いただいた参加者の方には、2,000円程度の商品券を提供させていただく予定である。その他、アンケートによるデータ入力、質的インタビューによる逐語録の作成を業者に依頼し、データ作成する予定である。
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